2011年03月06日

騒がしい未来

スピッツの「チェリー」という歌が好きだ。
私には、あれが何よりも旅立ちの唄なんだ。
小僧がサッカーの少年団を辞めるときに、この歌を聴いて私が泣いたんだ。

地元少年団は健全育成を目的にしている。
私は地元と関わることをとても大切に思っているので、種目をバスケに替えて、地元スポーツ教室に入りたいと言い出した小僧を、言祝いだし応援もした。
そして一年。
五年生になったら小僧はサッカーに専念するという決断をし、正式にバスケ部を退団した。
「がんばれ!ベアーズ」たちと遊ぶバスケットボールは、一年間、週に一回、みんなで笑い転げて本当に楽しかったんだ。
ふっと、♪君を忘れない・・・って、歌が頭の中をぐるぐる始まっちゃって、小僧はどうしてこう、曲がりくねった道を行く人なんだろうと思いながら、「アイシテルの響きだけで、強くなれる気がしたよ」の辺りで、チームメイトの顔を見ちゃったら、もう。

卒団式で、六年生の先輩たちはみんなかっこよかった。
もはや格が違う中学生のOBも卒団式を祝いに来てくれて、小僧はこのイケメン先輩にバスケをご指導していただいたんだったなあと思ったら、この一年が懐かしすぎて切なすぎて、また泣きそうになる。
バスケを続けていたら、こんなイケメン先輩のようになれるかもしれないのに!
いや、顔の作りが違いすぎるけれどもな。
最後は、男女親子先輩後輩の混合のゲーム。このバスケの試合は、見ているだけでものすごく楽しかった。親たちの珍プレイに笑いながら、涙が出た。

シュートは板に当てたら一点にしてくれ、というレベルから、ドリブルだって自分の足にボールをぶつけてしまうような小僧が、よくぞここまで「まともに見える」動きができるようになった。
全然、うまくはない。たかが一年だ。
でも、6年の先輩たちに仲間として認めてもらえるのが嬉しくて、週三回練習しているクラスメイトに追いつきたくて、それなりに頑張っていたとは思う。
「あーら、福ちゃん、今度はバスケにくら替えかい?」
とご近所さんから声がかかるほど、道端ドリブルも、よくよくやっていた。

福ちゃんは努力家だねぇ〜とほめられるたびに親の私も勘違いしそうになるが、ただひたすら楽しくて、自分の思い描くプレイがしたくて、小僧はずっと自主練を欠かさない。
それはバスケでもサッカーでも、なわとびや鉄棒でも。
こういうのは努力とか苦労とかいう言葉を使ってはいけない気がする。
サッカーボールの場合はうまくいかなくて泣きながら蹴っていることもあったけど、バスケは純粋にただもう、ものすごく楽しそうだったのが印象的だ。

やめなくてもいいんじゃないかな〜と、実は親として欲も出た。バスケはバスケで、サマになってくればかっこよさもある。
それでも、小僧はバスケを続けるのは無理だと判断した。
小僧はいつだって前ばかり見ている。いつも明るい明日を信じている。
そして次のことを始めると決めたときに、常に未練がない。
これが子どもの強みだなあと思う。
それも小僧のような単純な思考回路の人の・・・スポーツ馬鹿の強みだ。
寂しがっているのは切り替えるのが下手な私の方で、いつもいつも気持ちが残ってしまうんだな。
バスケ部の女子も男子もみんな我が子のようだった。これが地元スポーツ教室ならではの現象で、地域でのふれあいもあるから誰彼、熟知することになる。
選手全員の名前とナイスプレー!を、声を限りに応援した日々が、本当に愛おしい。
親もまた、チームの一員なのが、地元少年団の醍醐味だからさ。
でも。
小僧の人生をのっとってしまわないように、私は小僧の伴走者なのだと覚悟しよう。
だから小僧の決めたことを、上手に受け入れていくしかないんだと、決心しよう。

卒業した先輩方、おめでとう。
一足先にでていくけど、チームの仲間、ありがとう。
たくさんの喜びを、ありがとう。

♪いつかまた この場所で 君とめぐりあいたい・・・。


2011年03月06日 14:14