2010年11月08日

尊敬するある選手と。

「僕は、チームのセレクションっていうのは選手の力とは別物だと思ってます。
そこにあるのは「チームの事情」であって、才能の多寡を図るものではないから。
どんな選手にも自分を生かせる、合った場所が必ずある。そこでサッカーをすればいいんですよ」

と、心の底から小僧が尊敬している、あるサッカー選手に言われて、なんだか目からウロコで。
ああああ、私は何を焦っていたんだろう。
この先、まだ50年は続く、小僧のサッカー人生です。
今、死ぬほど憧れたチームがあるにしても、小僧はまだ10歳。
ものすごーーーーく、近視眼的だったね、私はね。
小僧の情熱に飲み込まれちゃってた。親なのに。
U-60のその選手に焦る気持ちをしっかり見透かされて、的確なポイントでお話してもらって、っとに楽になりました。
そして、親がすべきことは、ケガをしない体づくりのサポートとあたたかい応援だと言われて、改めて気付かされました。セレクションのその日まで、親のすべきことはでーんと構えること。なーに、破れたって、山河ありです。京都に行く、っていう意味じゃないよ。
「選手はみ〜んなわかってますから」
という、本当にフィールドを90分走り続ける選手の言葉を信じよう。

その彼は、小僧の憧れの人、横山宏さんです。
小僧にとっては、クリロナよりメッシより、横山さんなんです。小僧が異様にナイキ好きなのも、横山さんの影響。
サッカー夢ノートに、「じじいになるまでサッカーをやり続ける」と書いたのも、横山さんの影響。
プロではないけれど、毎日プロ並に練習していて、アマチュアのチームで得点を重ねています。
本業のお仕事でも大成功している、著名な方です。
でも、小僧には、「最も尊敬するサッカー選手」なんです。

小僧にとっては退屈な、大人のパーティーが出会いの夜でした。
全日本のレプリカを着て、ボールを持っていたら「サッカー好きなの?」とみんな話しかけてくれます。でも、うんとうなづいたら、それ以上話が続く人は誰一人いない。
どこが好きなの、誰が好きなのと聞かれて答えると、「へぇ、すごいね」と言って、大人はみんな消えてしまうので、早く家に帰ってこのボールを蹴りたいと思っていた小僧でした。
そのとき、はじめて海外リーグの話ができる人に出会ってしまったんです。
どこまでもマニアックな話についてくるばかりか、自分よりも詳しい→尊敬できる人だとみるみる確信し、それは初めてお店の中でボールを蹴っても怒らない大人で、いやむしろ率先してボールを蹴って目の前で「あんまりうまくないんだよー、でも大事なのはシュートだから。点が入ればいいんだよー」と、リフティングを見せてくれた最初の大人で、そのうち一緒に蹴ろうぜとパスパスなんか始めちゃって、結局幹事さんからやんわり注意された二人……という顛末。
小僧にとってはあまりにも衝撃的で、「ななな、なんてわかってるんだ、この人はっ!」という喜びで尻尾が大きく震えた経験だったのです。

大好きなその人に、小僧、久しぶりに遊んでもらいました。
ちょっとしたフットサル大会の、一日監督をお願いしたところ、たまたま時間が空いているから、一緒にあそびましょう!とご快諾いただき……。
思えば、豪快な人だよなあ。
突然、小僧のチームはゴージャスに。
ずーっとずーっと横山さんと一緒にサッカーがしたくて、ここ一年で研鑽した自信あるワザはあれもこれもご披露するんだと張り切って朝からテンション全開。
アップも指導してくれます、円陣も監督が一緒に組んでくれます。いくぜっ!と、仲間と一緒に元気に飛び出し……。
で、全くいいところを見せられず。
その上、「こんなはずじゃなかった」感だったのでしょう、出会った頃の、まるで幼稚園児のように泣き出す始末。……メンタル、弱っ!!
それでもそこは横山監督ですから、子どもたちの心にクサビを打つがごとくのお声がけ。尻上がりによくなっていくチームや子どもたちの意気込みに、たいていは「うちの子がこんなにダメ!」とダメ出ししがちなお母さんたちから、愚痴ひとつでてこない。
たった半日で横山監督の残したものは大きくて、決勝に残れなかったにもかかわらず、最後の挨拶の時には、チームの仲間たちはみんなつるんと風呂上り寿みたいでした。
たった一人をのぞいて。
「この一年、俺は何をやっていたんだろう」
と、駐車場で横山さんに小僧が言ったらしいです。
「大丈夫、ちゃんと上手になってるって」
と、多分ていねいに褒めて頂いたのでしょう。帰宅後は、次に向けて心の毛づくろいに余念がありませんでした。
電話で小僧の課題も、親の心構えもちゃんと教えていただいて、さあ明日からまた自主練だ!!
迷いに迷い、ブレにブレていた私の心も、明日からしっかりしよう。

そして、明けた今日。
練習から帰ってきて、小僧はちゃんとストレッチをしていました。
それは確かに、憧れのチームに入るまでやればいいってもんじゃないわ。こういう積み重ねがあって、多分サッカーがうまくなっていくんたな。入ればエスカレータで上にあがれるって世界でもないし、小僧が「サッカー、もっとじょうずになりたい」って願い続ける限り、サッカーは生活の一部として、ずっと続くんでした。
うまくいかなかったら、やり直せばいいよ。
気持ちの切り替えも練習すればうまくなる。
次に横山さんに会うときには、ちゃんと体も心も柔らかくしておかなきゃね!
……これ、私の腰にもよさそうだわ。私もしっかりストレッチして、あと30年はがんばろーっと。


2010年11月08日 23:20