2008年07月09日

『痛い警告』 爪

足の指が痛いという小僧を病院に連れて行きます。
なんたって、黄金の足ですから。大げさですみません、と医者に言いながら靴下を脱がせます。親指だけが赤く腫れている。
「爪の下に腫瘍ができていれば」
美人の皮膚科医はさわやかな笑顔でいろいろな可能性について丁寧に説明してくれた後、この先の経過次第での処置を、場合分けして語ってくれます。
「爪を全部剥いで、検査します。腫瘍があれば、切除します」
と、にっこり。
つめーーーーーーーーーーーーーー。
全部、はぐーーーーーーーーーーー。
なんてショッキングーーーーーーーー。

「あの、つめ、爪、はぐって、あの」
ワタワタする私に、またしても松下由紀似の女医さんは、
「麻酔しますから、痛くないですよ。ぺりっと、簡単にはずれますから」
と、にっこり。
このにっこりにやられて、剥いで下さいというドMもいるんじゃないだろうかと一瞬不謹慎なことを考えるろくでなしな母。
ショックなのは、その最悪の事態では、はえてくるまで半年は運動ができなくなることで、このサッカー小僧から運動をとったら何が残るだろうと考えて愕然。

抗生物質を飲ませて様子を見ることにしましたが、、爪を剥ぐ生々しい想像がずっと冷や汗につながっていました。

ところが今朝、仕事が終わってはつらつと起きてきた相方に、小僧の脚を見せると、
「なあんだ、ねぶとだ!」
と笑います。なんですと?
「これ、子どもの頃によくできた。もうちょっとたつと芯が白くなるから、そしたらオヤジが熱した針でくりぬくの。足跳ね上げちゃうほど痛いから、家族全員で取り押さえて」
一気に青ざめる小僧。
……そんな風土病が?そんな通過儀礼が? 
以前ねぶとの話を聞いたときには、あの、緑深い山の奥の奥の奥なら、ありえなくもないと思った話だったんですが、そうか、風土じゃなく、そういう家系だったのね。では、その熱した針を伝統的にお父さんが?と聞くと、
「いや、俺はできないよー。病院でやってもらいな。すっげぇ痛いけど、すぐ治るから」
と、にっこり。
いや、多分、爪をはいでも平気な麻酔というのが存在するから、摘出しても痛くないと思います。
相方によれば、あと三四日で熟れてくるから、そうしたら針の刺し頃だそうで。
ああよかった、サッカーのできない小僧になっちゃうのかと、真っ暗な気持ちでしたよ。子どもの病気や怪我って、自分のことより、ずっとつらいのね。
とりあえず、急浮上。

腫瘍を調べていると気分はずんずん落ち込んで行き、皮膚科の疾患は写真を見続けるのに勇気が必要です。
でも、ねぶとと限定して調べてみるとなんだかすべてが楽になりました。
犯人は、黄色ブドウ球菌らしい。免疫が強ければ、そんなに悪さしないばい菌なのになあ。ちょっと前までヘルペスわずらってて、小僧はどこまで疲れているんだろうと思うと、このねぶと祭りはいい休暇かもしれません。

ここしばらく、自分の病気も含めて、ネットで検索し続けていました。
体験談のブログって、実に頼りになるんだなあと実感しました。
何かの単語で引っ掛けてここに来た方、あまりお役に立たなくてすみませんが、あなたのご病気やお怪我が治っていくことを、心から祈ります。

2008年07月09日 11:03