2007年11月26日

発達障害 渦中を過ぎて

街でばったり会って、幼稚園時代のママたちと久しぶりに立ち話をした。
お友達とのトラブル、お友達ができない苦悩、勉強をさせる工夫。
悩みの質が幼稚園時代と全然違うけど、いつもいつも新しいステージで新しい敵キャラにめぐり合うたび、経験と英知をフル稼働して戦っていく点は同じ。
幼稚園のころは大変だったなあ。と懐かしく思い出す。
軽度発達障害、というのは、検査基準が変わったのか、化学物質か何か原因があって増加しているのか、割とポピュラーになりつつあるが、幼少期、まだ育児経験も浅いときに手のかかる子どもを育てていくのは相当にきつい。
今きっと同じ渦中にいる人が、このブログを読んでくださっているに違いないけれども、いやマジで大変でしょう? ホント、生半可な大変さじゃないですよね。わかるっ!
変わり者というのは、全部親のせいにされちゃうし。
しつけが悪いことになっちゃうし。
変な子扱いの目って、意外に冷たいし。
よくよく見れば、呼吸して鼻たらして食って糞して泣いて笑って、ちっちゃい子なんかそんなに大差ないのに、幼少期は這えば立て立てば歩めの親心だからなあ。
うちの小僧は、這わなかった。寝転んでばかりいて足がダメなのかなあと思い始めたころ、いきなり立って、走り出した。走り始めたら、親の声を無視して走り続けた。
最初に話したのは英語だった。
おもちゃはおもちゃ会社の人が考えたのとは絶対に違う遊び方ばかりした。
一度はじめると、ずーっと一つのことで遊び続けた。あらこれは今も同じね。
それが、すなわち、発達障害。発達の仕方が、健全な人と微妙に、あるいは大きく、違う。
常識から外れたところで子育てしていたつもりの私ですら、結構大変だったのだから、社会的にきちんとした人だったりすると、その苦悩たるや私の何倍にもなるとお察しします。
でね、今、小学生。
私はただ一人だけ、今、凪のように小僧に関して悩みがないことに驚いた。
重箱の隅をほじくれば一つぐらいは出てくるのかもしれない、洗濯物が多すぎるとか。犬みたいなにおいがするとか。
でも、今、本当に彼に関して悩みがないのだ。
こんな日がくるなんてね、渦中では想像もしなかったけれどもね。
友達は大勢いる。
特にラブラブといってもいいぐらい、仲良しの友達もいる。お前らアラブ人かと突っ込みたくなるような、同性の仲良しさんがいる。
テレビゲーム系で悩むことはない。
ボールで遊びすぎるきらいはあるが、ドッヂボールが強すぎることはマイナスにはならないし、サッカーをやりすぎるのはもうとっくに諦めがついている。
お友達とのトラブルもない。
喧嘩の怒鳴り声と泣き声がもとより大嫌いだから、すぐに謝れるし、謝られればすぐに許せる。気持ちの切り替えはむしろ誰よりも早いほうだと、担任は言う。
信じられないことに、クラスのムードメーカーですらあるという。担任の力によるところが大きいのだが、体が大きなアナタは腕相撲も強くて力が強いのだから、常に人を助けてあげてね、という責任感の持たせ方が、彼を思いやり深い人にしているのかもしれない。
それが一見、そういう人のフリだけなのだとしても、うそも百度重ねれば本当になる、生真面目で、暗示にはかかりやすいタイプなんだもの。
勉強は今のところ大好きだ。
計算がクラスで一番早いのに気をよくして、サンプルでくるドリルや学年誌の問題までクイズを解く感覚でやってしまう。くもんの宿題は日課なので難なくこなしている。
そして学校が、お友達が、大好きだ。
今日も発熱しているのに、検温のときに37.5度を超えた段階で脇からはずして、冷まそうと試みたりするほど、学校に行きたい。給食を食べたい。体育をやりたい。
何か一つの自信で、オセロで黒から白にひっくり返っていくように、今はものすごーく楽になった。
何か一つのきっかけ、それが同じ障害で悩む親の子たちに(子どもは多分まだそんなに悩んでいないはずだ)、みつかるといいね。みつけてあげられるよう、がんばってね。
「うらやましい、ゆうこさん!」
と言われて、苦笑する。幼稚園時代のママ友は、偏見のない人が多くて、その知性に実に救われたのだが、そこまで言ってくれるといっそくすぐったい。
最近友達になったママには、「妹をぜひ嫁に!」と言ってもらった。もちろん、発達障害だということを知ってなお、そういう冗談が出てくるのが本当にうれしい。
今の小僧を、偏見ではなく、ちゃんと正面から、見てくれる人がいる。
診断名は消えないから、まだ時々「変な子扱いの目」で見てくる人もいるにはいるのだが、そういう人って決まってご自身のお子に問題がたくさんあってしんどそうなので、まあ与太郎として存在するのも悪くないとは思う。
ただ、比較の中に幸せはないよ、とは思うんだよね。
うちの子は福助君と違って障害者じゃないんだから、与太郎じゃないんだからまだマシ、なんて福助を上から目線で見て自己満足してる人を見ると、熊さん、大きくなってとんだ間抜けっぷり……なんてことにならないといいけどなあ、と憂慮してしまう。
誰かより、何番、秀でる。
のではなく、
自分の子が一番大好き。
って、それでいいんじゃないのかなあ。母親は。

個人面談で言われた、あえてあげると……の、小僧の欠点は、「何でも100パーセント過ぎて疲れそうなこと」だった。
今はまだいいけれど、大人になるときには少し手を抜くことを覚えないといけない。
100点が取れなくなったときの、負けたときの、気持ちのなだめ方をしっかりケアしていかないとならない。まわりに似たようなタイプの大人がたっぷりいるので、そんなレクチャーもおいおい。
でもさー。
将来を憂いたらきりがない。
そのときがきたら、また悩めばいいやと思う。何度も同じ事を繰り返すようだが、ここまでの親孝行で、もう十分だから、多少の問題は大歓迎なのだ。私の育児スキルも上がるしさ。
健常児だって、子育ては子育てってだけで、十分大変。だからこそ、おもしろいんだもの。

2007年11月26日 15:47