2007年08月14日

肉塊の叫び

プールで休憩していたら、
「おかあさんすごい、腹筋割れてる!」
と小僧に言われた。
それは二段腹というのだ、小僧。さわってごらん、やわらかいから。

子ども部屋を掃除していたら、
「おかあさん、おかあさん、これは痩せるかも」
小僧が「電動まっくろくろすけ」を持ってきて私の腹にあてる。紐を引っ張ると紐が元通りになるまでブルブル震えて床をすべるおもちゃだが、何度も何度も紐を引っ張ってはあてつづける。
確かに、なんとかシェーパーという電動痩せマシンに動きが似ていなくもない。
小僧よ、小僧。世の中のダイエット商品は、ほとんど嘘だ。部分痩せは生理的にはありえない。

ダイエットの話なら、暗誦できるほど記事を繰り返し書いてきた。二時間の講演会を三日連続でやれるほど素材はもっている。
ただ、私には説得力のあるボディラインがない。
食欲をねじ伏せる、強靭な精神力もない。
ビリー入隊を検討した途端、左足を捻挫した。
きっと現状維持を良しとする脳が、無意識で怪我をさせるのだ。自然荷重で痛めたとすれば、メタボ以前に大問題な気もする。

「おかあさんこのままだとさ、肉食恐竜に食べられてしまうと思うんだよ、おいしそうだよ」
と小僧に心底心配される。
それは違うよ小僧、現代社会に肉食恐竜はいないからね。
第一、お前、そのおいしそうな腹肉にぎるの大好きじゃないか。おかあさんがコチコチの筋肉塊になってしまったら、一番悲しいのはお前じゃないのか。
しかし、平然と痩せろというメッセージ、母親に投げかけてしまうのだなあ。
それは、毎日ジョギング10キロで私との体重差を10キロにした勝ち組の父親の影響なのだろう。
価値観はこうして受け継がれていく。
勝ち組の人間は、自分に厳しい以上に他人に厳しい。
だが負け犬、いや、負け豚にも遠吠えをさせて欲しいのだ。豚が遠吠えをするかどうかは浅学にして知らないが。

私は40歳を過ぎ、体重が65キロを超えた辺りから、どんどん人にやさしく、楽天家になって生きていきやすくなっている。
元々165センチもあり、骨太な私には、華奢だった時期はない。
だが、週に3回以上のワークアウトを課し、53キロだった昔、素敵なボディを持っている私を誰かが守ってくれたのか。私はその細い腕で食べていくために戦いつづけ、その厳しさで、自分も他人もたくさんの人を傷つけた。
今。この太い腕とたくましい腹に、その頃の美しいシェイプは見る影もないが、このもにもにの私に抱きしめられたら、きっと心地よいだろう。この厚い脂肪で私は何を守るべきかをよく知っていて、いつでも誰でも、ハグする準備はできている。
ただ、小僧とP子以外、それを求めてくれる人がいないわけで、それにしちゃビール代、菓子代、維持費がかかりすぎている気もするが。


こういうの、開き直り、ともいうんだよな。
本当は、小さなお相撲さんみたいなラインから、せめて歩くのが苦痛にならない程度になりたいです。

2007年08月14日 13:53
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