さて、今日のランチは線路向こうにある赤い海老(仮名)というレストランである。
ここがもうすぐなくなってしまうと聞いて、慌ててそこでランチを設定するあたり、鉄道オタクの廃線に乗りに行くアレと同じ発想なのである。
初めて食べたジャンボエビフライは大変に美味しかった。
近隣にいて、今更、初めて海老食べてちゃダメじゃんとは思いつつ、尻尾までばりばり頂いて大満足なのであった。最後に食べておけて、よかった。ご馳走様でした。
そして、このジャンボエビフライをご馳走してくださった男性が、これまたジャンボな方なのだった。
身長190センチ弱の巨漢である。一緒にいた私が、きっとタイニーに見えたに違いないのだが、座ってしまうとそんなにかわらないというのはいかがなものか。
勇気をもってカミングアウトしよう、私の座高は高校時代、学年で一番高かった。
そして、体の厚みが人格や信用と比例して大変に厚い私は、ジャンボな彼と一緒にいても多分あまり遜色はないのであった。
その彼は、そんな体躯を持っていながら文科系という、なんだかとっても惜しい気のする殿方なのだが、何かあるとすぐさま飛んできて解決してくれる、ジーニーのような、気はやさしくて力もちを地で行く方なので、惜しむには及ばないのだった。
で、話の主題から全然離れた、その彼が100キロ代から20キロダイエットしたという話に驚愕した。
知り合った頃から、ちゃんとやせつづけているのである。すげぇ。努力家……普通に出来ることしかしていないと謙遜するけど、お酒飲んだらご飯を食べないとか、甘いものをやめるとか、アタクシには到底できなくってよ。パンがあってもケーキも食べればいいのに、というアタクシにはね。
この世の中、食べる楽しみをとってしまったら生きるかいがないわと思うのである。おなかがすいていると悲しいのである。夕方になるとおなかがすいて涙が出そうになるのである。乳幼児並みの忍耐力である。
でも相方は刻一刻と痩せつづけていて、今では何か悪い病気なのではないかと心配されるほどほっそりとしてきている。
もちろん、筋肉はぱんぱんについているので、近づけば病気じゃないことはわかるのだが、病気でもない限りコツコツ努力してジョギングでやせるなんて発想は、私を含む普通のオバちゃんにはもてないのである。
黄色い手袋して、変な短パンはいて、にこやかに踊っているピリーのブートキャンプを見て、これだ! なんて決心しているのは、流行り病にかかって熱にうなされている人のように思えてならないのである。
最近すっかり健康オタクと化している相方は、西は井の頭公園のあたり、東は浜田山界隈でも目撃情報が出ており、一体どんだけ走っているんだといっそ不安にすらなる。テニス熱がやんだら、ジョギング&ブート熱。おなかなんか、割れてきている。体使うこと、実は大好きだったんだね。運動会には校舎が燃えてしまえばいいと思っていたくせに。
運動会の花形だった私は、もう走れない。割れていた腹筋がカバのように丸みを帯び、カモシカのような足が象化した今、走りたいなんてビリーの毛先ほども思わない。一生分走り倒したから、きっともういいのである。何かプライズのために走りつづけると、プライズがなくなったとたんに人はそれをやめてしまうのである。純粋に走るのが好きだった大昔にはもう戻れないのである。
美味しいエビフライを堪能して動けなくなっていたとき、学校から呼び出し電話が。
福助、体調不良で動けなくなっているので、迎えに来いとのこと。早速走る。走る。走ってるんだよね、こうやって無理やり。相方はいつも楽しんで走り、私はいつも苦しんで走るのである。おんぶした福助は重たいのである。ジャンボな彼が落とした体重分ぐらい、あるのである。(この分落としたのか!)
「運動会に間に合うといいんですが。福ちゃんクラスで一番足が速いんですよ。誕生日ですし、大活躍を願ってるんです」
と、担任の美人先生に言われ、ああつまんないとこ、似てるなあと思うのである。私も活躍が期待される本番直前に発熱したり体調を崩す、プレッシャーに弱いへたれ学童期をすごしてきたのだった。なのにプレッシャーがかかればかかるほどいい成績を出すという、見られて燃える露出狂タイプで、最終的にはプレッシャーがないと全然ダメという困った体質で、そんな変なとこも、似ているのだった。
足、速くなくてもいいから、一生楽しんで走れたほうが実はお得な気がする。サッカーも、私のスポーツのように燃え尽きるのではなく、遠赤外線の炭のようにホクホクといつまでも懇意でいて欲しいと思うのであった。
いやまあ今はとりあえず、そんな未来のことよりも、お腹の調子をなんとかしてあげたいのであった。お腹がすかないなんて、それはそれでかわいそうすぎるもの。
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