某サッカーフェスティバルの当日、七時に起きると、私の横に相方はいなかった。
前日、終電までには帰るといい残して、相方は出かけていった。
なのに、始発時間をとっくにすぎても相方はまだ戻っていないのだった。
まず仕事場になった地下室を探す。いない。
駐車場の車の中を探す。いない。
ああん、お弁当作らなきゃいけないのに、何やってんだ、私。
つか、何やってんだ相方。
携帯電話をかける。でない。
今日の試合会場も知らない相方に、とりあえず最寄り駅をメールし、そこまで自力でたどり着け。あとは電話でナビする。と携帯メールして、準備に取り掛かる。
すごいロスタイム。でも、電車は待ってくれないの。
走る走る走る。おかんというのは、しゃかりきに自転車をこぐものと見つけたり。
会場に入って、ようやく相方と連絡がつく。
千歳烏山めざして新宿から電車に乗ったが、気がつくと京王八王子だったり橋本だったりよみうりランドだったりなぜか新宿だったりしたらしい。
きつねのしわざかもしれない。……あんまりにもアホすぎて怒る気力もなし。
でもまあ、こりゃあ狩られたのかなとも思っていたので、無事でよかったよ。
ほかのパパとは比べない。荷物もってくれたり、車運転してくれたり、買い物いってくれたり、かいがいしく写真撮っている、そういうパパたちとは比べない。と、言い聞かす。それが家庭円満の秘訣。
第一試合、福助のドリブルをファールでとめられ、フリーキック。先制、一点。
さらに再三ポストに嫌われつつ、福助のシュートで2点目。子どもたちが団子で重なり合って得点を喜んでいるシーンって、いいなあ。じーん。
試合中、相方から電話が入っていたらしく、次の試合までのあいまにやっと話をしたが、ぐるぐる迷ってたどり着けないらしい。
あとで理由を聞いたらわかりやすいランドマークで街の人に質問しまくったけれど、全員まるで違うことを教えたらしく、ぐるぐると……。前回青山で私もそんな目にあったな。田舎者は知らないなら知らないと言え。と、思ったものだった。
しかしやっとたどり着いた相方は、清潔感あふれるパパさんたちの中でただ一人、ドブにはまったような匂いを醸しだしており、きっと道を聞かれたほうもご迷惑だったであろうなとは思った。何を食べると、あんな強烈な匂いになるんだろうか。
第二試合は押しているのに点が入らない焦れた試合展開。
全員が全員、いつもの気心が知れたメンバーではない編成に、思わぬところで味方に球をとられたり、センタリングが生きなかったりして、なかなか福助、思う様なプレイにつながらない。ドリブルで抜けるにも、狭いコートに人が多い。
っていうかもう親たちの落胆の声が「いいかげんシュート入れろよ」と迫っているせいなのか、本当にポストに嫌われ続けて、最後にはポストにはじかれた球に、ヘッドまで試みていた。練習したことないのにな、ヘッド。無得点だったが、いい経験になっただろう。
第三試合、得失点差を考えるなら、4点の点差で勝ちたい。
相手は年少さんチーム、ダブルスコアでいけるかもと思いつつ、福助1アシスト1得点の2点で、後半戦はゴールキーパーになった。後半無得点だったのでドキドキだったが、第一、第二試合のチームがつぶしあってくれてリーグ一位抜け、決勝進出が確定した。
決勝は強豪の、渋谷のチームだった。
全員揃いのユニフォーム、背番号には名前入り。そして、チーム名の入ったグッズ。このグッズが、なんかこう、強そうげなのである。やってるぜ、金もかかってるぜ、親の期待もしょってるぜ、という威圧感が漂う。
正直、福助よりうまい子がいて、福助と同じようなレベルがもうひとりいて、大量得点でリーグ戦を勝ち上がってきた。
オウンゴールで一点先行され、福助が取り返したが、同じ様な目の覚めるシュートを決められ一点ビハインドでハーフタイム。
後半、相手の怒涛の攻めに合い、福助が前に出られない。再三、相手のコーナーキック。それにあわせたボレーシュートを、福助軍、ゴール前で顔面で阻止した子がいた。怪我退場した彼に、大きな拍手が起こる。あれを逃げずに立ち向かっていけるヒロシ(仮名)は、本当に大物だと思った。
自分の子以外にも、随所に感動がまぶされているので、子どものサッカーって本当にお得である。
ロスタイムに入り、福助の運動量がさらに増した。
あたりの弱さはあるけれども、この豊富な運動量だけはピカイチだわと親ばかな私。ぎりぎりで、またしてもポスト、さらにサイドネットを揺らすも、無常の笛……。天を仰ぐ福助。
でも、泣かなかった。
強くなった。
すごい進歩。
優勝チームは慣れたもので、会釈も握手も完璧な表彰。一方の福助、初めての表彰状のもらい方はひどくて、失笑をかっていたけれども。まあ、いいさ。トロフィーにキスしたのも、ワールドカップが大好きな感じがよく見える。
相方とP子が帰宅組、私と福助は卒業アルバムの写真撮影用に、バルサのレプリカユニフォームを買いに行く。ところが福助、どたんばでやはり日本代表のユニフォームがいいという。
ワールドカップが終わっても別に値引きしているわけじゃなし、このデザインは目が慣れてしまってアルバムにはヨーロッパのクラブチームの方が目立つし、正規料金だととっても高いので迷っていたら、
「いつか本物を着るから。代表になったら、自分で買うから。今はおかあさん、これ買って」
……うまいなあ。こいつは言葉がうまく使えないが、女心に忍び込む術はよーく知っていると思う。
代表になったら、きっとただで支給されると思うんだけど、代表になれなくても立派なサポーターとして自分で働いたお金でレプリカが買えるようになればいいね。
サッカーは応援するだけでもものすごく面白いからさ。
そんなことに親子そろって気づいた幼稚園生活なら、このジャパンブルーのTシャツをおいてほかに衣装はないようにも思え、迷いなくレジに持っていった。
帰宅したら、P子が嘔吐下痢で真っ青になっていた。シーツを取り替えるたびに吐く。布団にも吐いて、敷きかえる。こんな体調で一日吹きさらしの中、福助を応援していたとは。君も戦っていたのだなあ。
ついでのように福助も寝る前、リビングの床に突然にどぼどぼ吐き戻し、そこから鈴木家は野戦病院と化した。深夜まで看護。月曜日は肋骨で病院に行くはずだったのだが、それどころではないな。
おそらくはにんにくを大量食いしていた相方は睡眠不足で早寝して、今朝、大変に元気に目覚めた様子。朝からとても爽やかな笑顔と、困った匂いを、振りまいている。
2006年12月11日 12:02福ちゃん、P子ちゃん、ノロウィルスですよー。
私もやられてますが、かなりキツイです。
ツライです。へろへろです。
体力ゲージ(HP)激減です。
どうぞ、お大事に、お大事に。
肋骨は1回くらい診察をパスしても引っ付きますって。
(ごめんなさい)
肋骨、だいぶ楽になってきましたよーん。
ノロは怖かったけど、そんなに問題もなく。
うちの子達は丈夫なので、だらしない親でも
大丈夫。うまくできてますね。
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