かわいこちゃん一家がうちに遊びに来た。
もちろん、一家の主婦が引っ越しの最中に骨折しているので、家中ゴミ屋敷と化しているが、お菓子もって遊びに来てくれたのだから、当然中に入ってもらう。否応なくお茶につきあってもらうのは当然なのである、だって暇なんだもん。
貧民屈のようにぶら下がる洗濯物。あちこちに段ボールと、ゴミ袋。いやあ、ゴミ屋敷で飲むお茶というのもまた、乙なのである。
そのかわいこちゃんが、実にかわいいのである。安野モヨコさんの描く女みたいなかわいこちゃんなのである。彼女のダンナは彼女にぞっこんベタ惚れなのだが、それには美貌以外、もうひとつ理由がある。
家を買う、という話をしているときに、貯蓄の金額の話になり、
「うちは8、ってとこですね」
と、かわいこちゃんは鼻をふくらませて胸を張る。800万、まあ相場なのかも知れないが、若いのによく頑張っているとまわりは思う。
そのダンナは、「なんだ、うちには80万もあったのか、隠し資産だな」と思ったという。しかし、よくよく聞いてみると、貯金残高8000円だった。お前それじゃあ今日びの高校生より少ない残高じゃないか? っていうか、生活は大丈夫か? と、笑う。……肋骨が、痛む。
「年少さんだから、どうしても風邪とか病気とかもらい放題で」
と、かわいこちゃんはママ友なので、全国共通の悩みを嘆く。
「そうだねぇ、まあでも年少のうちは病気もらって、年中でとんとんで、年長だとものすごーく強くなるから。たいてい皆勤賞がでるのは、年長さんだからね」
「え。そうなんですか。うへー。それ、どんな病気ですか」
「ん?」
「カイキンショウ、って……。あ、あー。ああああ、ああ、やだー、ああ!」
一瞬、疥菌症、みたいなあて字を思っていたのか、かわいこちゃん。笑う……痛いのね、肋骨が。
といった具合で、かわいこちゃんがお見舞いに来てくれるとものすごーく華やかで楽しくて笑い転げてしまうので、私は彼女の大ファンなのだが、肋骨折ってない時にもっと頻繁に遊びに来て欲しいと思う。
P子が風邪気味だ。
「福助はどこも痛くない。元気だよ! 」
と、今日もサッカー部で二点をあげた福助が、胸を張る。
「そうかい、立派だよ健康が一番だ」
と私が頭をなでると、
「長生きしそうだよ」
と言うので、吹き出してしまい、そのあと襲い来る鈍痛に唸るのであった。
基本的にどこが間違いといえないのだが、ちょっと言葉の使い方が変だったよと言うと、
「そうか、自慢だったか……」
と反省していた。それもまた違うので、笑った後唸った。でももう己の保身のため、説明はしなかった。
福助もまた、かわいこちゃんのように、突拍子もないところから斬り込んでくるので、油断がならない。
相方は一緒にゴハンを食べながら顔を合わせるたびに小ネタで笑わせるし、私の肋骨はあと残り二週間で本当に治るのだろうかと不安である。
そして、この家は、本当にキレイに片づく日がくるのだろうかと、心の底から不安になる。
パソコンは今日もだましだまし。
相方のメインマシンもなぜか壊れてしまった。
早く修理にださなくちゃ。そして、代替機も買いに行かなくちゃ。
せめてP子の風邪が悪化しませんように。
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