2011年05月19日

老化は走らない!

景気よく体重だけが右肩上がりだが、老化によって頚椎にちょっとしたトラブルを抱えている私は、左肩だけが少しばかり下がってしまう。
ウレタン素材を着込んでいるような状態も味方して、左腕が自分のもののようではなくなりつつあるのがちょっとばかりつらいが、もともと不器用で左手は飾りみたいなものだったので、あまり問題はなかった。
ところが、うまく左右のバランスが取れないと、思わぬミスを招くことがある。
顔をあたっていて、左の眉を半分、うっかり剃り落としてしまったのだ。
しばらく風呂場で逡巡する。
バランスを取るために右眉も半分落とすべきなのか。残すべきなのか。
鏡に写る巨大な鏡餅のような体型を、まずなんとかすべきなのか。
今日、PTAの広報誌に載る写真を撮られるというのに、私はどうしたらいいのか。

もともと左目だけが0.02という視力で、小学生の頃からほとんど見えていない。
バランスが悪いのは子供時代からだったわけだが、ハンディーは脳を活性化するのか、私は反射神経だけがすこぶる良好だった。モグラたたきゲームが商売として成立するなら、私はいいモグラたたき職人になっていただろう。
他にも、生きるために役に立たない特技として、「ハエを捕まえる」というのがある。
リズムだけで、ベース音だけで曲名を当てるとか、この声は誰の声とか、見たものを映像で記憶するとか、ビデオを再生するように脳内でセリフを再生するとか、もう本当に役に立たない特技はたくさんあって、身近にいる人はおもしろがってくれるが、実際に本当に、何の役にも立たないのだった。
出来ることなら、じゃがいもの皮がうまく剥けたり、塩加減がちゃんとわかったり、毎日同じ場所に同じものが置ける特技が与えられていて欲しかった。生きるために役立つ晴らしい特技は、あまり持ち合わせていない。
世の中には、私から見ると特殊技能としか思えないことを、普通にこなすスーパーな方たちのなんと多いことか。

今、うちには一匹の大きなハエがいる。
もう、三日ぐらい、でかい顔して居座っている。最初に見たとき、
「おう、任せてくれ」
と、いつものようにティッシュをてのひらに敷いて、ハエを捕まえようとした。
けれど、全く捕まえられないのだ。かすりもしない。
驚いた。
ハエとりの技術は、邪魔なハエを追い払えるという、ささやかなお役立ちがあったことを、失って初めて知った。46歳で、ハエに敗北した。
普通の人の持つ特技がない状態から、役に立たない特技までなくなっていったら、私は一体どうすればいいのか。

老化を受け入れ、老いと共に生きていくために、いちいち立ち止まって「どうすればいいのか」と考えている。
いろいろな間違いが多くなっている。できないことも増え続けている。
人生、まだまだ迷い道。ため息ばかりが多くなったなあ。


2011年05月19日 12:12