2011年05月09日

高校で留学001

P子の決心が本物なのかどうか、今週は確認の意味も込めて、一緒にタイ語の学校に体験入学してきます。
・・・子どもが変わり者だと、毎日が実に突拍子も無い楽しさに満ちる。
ええ、ええ、子どもたちが持ち込んでくれる課題がなかったら、私はもうちょっとちゃんと大学の問題に取り組めるような気がする反面、ダンナの金髪の地肌がやけに荒れていることとか、自分の体重がなぜか急上昇していることとか、そんなことばかり気にしてしまって、ダンナは早晩ハゲるかもとか、それより鼻毛の伸びが気になるわとか、日々は憂いに満ち満ちていたでしょう。
もともと、人として小物なのよ。私。
体のサイズを巨大化させてごまかしているけれども。
些細な問題が、重箱の隅の隅が、とにかく気になって仕方ない。
でも、子育てしているうちに、なんとなく自分やダンナのどうでもいいことは、本当にどうでもよくなったわ。

そんなわけで、娘ちゃんが、迷いを払拭して、タイに留学したいのだそうだ。
私立の中学校に行く時に、交換留学生制度があることは確認している。
小学五年生の時、交換留学生に応募して、区から派遣されて海外に行ったときに、自分は将来絶対に留学して、いろいろな文化を学ぶのだと心に決めたらしい。
ロータリークラブから奨学金をいただいて海外派遣生に応募する方法を知って、温めてもきた。
そのために、条件を満たせるような成績だけは確保して、その応募に最も有利な中三の今年。締切りは5月。という段になって・・・。
迷いに迷って、考え込んでいたのだ。
楽しい部活。愉快な仲間。中学時代にありがちないざこざ、自分の不確実さ、苛立ち。責任。
ロータリーは派遣なので、どこに行くかがわからない。合格するかもわからない。
娘ちゃんがしたいのは「海外ぐらし」ではなく、今や英語とタイ語の習得と明確だ。
今通う学校の姉妹校がタイにあるのだから、派遣生として重責を担うより、交換留学のほうが親としても安心かなあ、と、私のスタンスも隠さずに話してみた。そりゃ海外派遣生になれたら母としても自慢だけどさ、一番大事なのはP子のやりたいことだし、正直、P子のキャパシティーを考えたら、おすすめは交換留学の方かな。

キャパシティー。
分を知る、というか。
子どもには無限の可能性が、とかいっても、遺伝子と環境を無視することはできない。
しょせん、私ごときの子なのである。
できることをちょっとずつ積み上げて、その子の絶対評価で目標をクリアし、気がついたら「そこ」にいた、というのでいいと思っている。
相対的に何点ぐらいの評価か、社会とのすり合わせで必要だけれども、標準的に見て自慢できる実績というのも気持よさではあるけれども、誰かからどう見えるか、人と比べてどうかなんてことは実は、どうでもいいことだ。
誰になんと言われようと、だ。
自分のやりたいことに忠実に、楽しいことを追求すること。無理しないこと。
そんな自由が許される子供時代に、自分の人生を誰かのために生きる尺度なんか必要ないのだ。

ゴールデンウィークは小僧のサッカー三昧だった。
小僧はそれなりに頑張っているけれども、まだまだチームを移って一ヶ月半。監督に評価されるようなプレイはできておらず、使われたいポジションで使われず、ベンチも多く、自分でも理由がわかるから言い訳が多くなっている。
いちいちフキゲンで母に突っかかる。
地元じゃ負け知らずだったのだから、当然だな。
サッカーのことはわからないが、社会性としてその言葉は使ってはいけない!そんな考え方はカッコ悪い! と叱ることが多くなり、連日の早朝出勤の疲れもあって、小僧とは険悪なムードだった。
「ボールを蹴っていたら幸せ」
そんな原点を思い出そう。そんな小僧を見ていれば幸せだったことも、思い出そう、私。
ただ楽しくサッカーを追求していたら、あとから結果がついてくるだろう。
世の中にはサッカーが上手い、化物みたいな子がゴマンといる。夢はJリーガーと言うからには一緒に伴走するけれど、小僧の一番の目標は「じじいになってもサッカーすること」だったろう? その結果をしっかり出してくれたら、いい人生じゃないか。
私自身も、監督の意向を深読みしたりせずに、ただただ、メシを食わせてしっかり寝かせてればいいんじゃないか。
ずっとずっと、楽しくサッカーをすることが大事なんだよ。

娘ちゃんにとって、タイは楽しい場所なんだろうか。私たちがタイに住みたいだの、タイは楽園だの言っているので、勘違いしていないか。
条件だけ見る限り、大変においしそうなんだが・・・。
ホームステイ先は華僑のお宅だし、インターナショナルプログラムだから英国人教師の英語の授業で過ごす一年間だし、ミッション系スクールの小学校からの一貫校だし、制服も支給だし、田舎街だし、タイ人親切だし。
修学旅行は英語圏マニラで寮生活、チェンマイで今の同級生との交流の機会、国際ボランティア活動も必修。
これが今の学費でまかなえる。
そして、単位として認めてもらえるため、帰国後、卒業は今の同級生と一緒だ。
大学進学の準備期間も学校の対応も一応あるが、タイの大学を目指すなら問題はない。都市部の大学は、全部英語で授業を受けられるシステムが整っている。
それにしても、一年間の長丁場・・・。わずか15歳で?

今週中に時間を作って、「魔女の宅急便」をもう一度一緒に見てみよう。
キキは13歳だったな。
一緒に、語学学校にも行ってみよう。もう、あまり一緒にいろいろなことをする時間はないかもしれないのだし。一緒に、ごはんをいっぱい食べよう。寄席にも行こう。手なんかもつないじゃおう。
永遠に続きそうな、突拍子も無い日々は、こうやって終わっていくんだな。

15年、早すぎるよ。

2011年05月09日 08:55