2010年10月05日

好事魔多し

サッカーの神様、たったひとつだけの取り柄を消さないで。
今の小僧には、サッカーしかないんです。
ボールを介してなら、誰とでも友達になれる。
それが彼のコミュニケーションツールの全てなんです。

スライディングで滑ったときに、小僧の左膝の上にジャンプした相手のスパイクが入った。
応急処置して、すぐに病院に。骨に異常はなかった。
打撲と、おそらく内側の靭帯損傷という診断。
しかし、膝を輪切りにしたようにまっすぐ水平に痛みが走る箇所がある。
打撲の痛みがひどくて今は診断不可能だが、半月板やっちゃってたら今後のサッカーは……。医者が言外に匂わせた言葉は、幸い人の気持を察知することが苦手な小僧にはわからなかった。
でも、厳しい現実になりそうなことは、痛みが小僧に教えていた。
「17日は、間に合いますか?」
小僧が聞く。
「まだわかんないな。でも、痛みが取れないと思うよ」
「……痛かったら、ダメかあ」
そこを目標に頑張ってきた、セレクション前、最後のアピールをするはずだったクラブ内大会には、多分出場できない。

小僧はサッカーが大好きで、暇さえあればボールと遊んでいる。
家の中にはフワフワボールがあらゆるところに転がっている。
その圧倒的な練習時間をもって、この夏、頭一つ抜きん出た感じがあった。
夏休みの研究は「スポーツ三昧」。発熱した日と、博物館に行った一日以外、ひたすらスポーツをやりつくした。いいコーチについて、ご指導いただくことでオプションが増えていくことが、楽しくて仕方ないようだった。最近では6年の試合にも呼ばれ、そこで先輩たちにとてもよくしてもらって、相手が上級生相手でも全く物怖じしない強い気持ちも芽生え始めていたと思う。
そういう時が危ない。
サッカーにケガはつきもので、少年期の故障の最大の原因、オーバーユースだけはものすごく気をつけてきた。
定期的に整体に通って、ストレッチや柔軟もしっかり身につけてきた。
私のマッサージのワザも、磨かれたと思う。
栄養と休養。それからメンタル。この柱のために、私は何冊の本を読破し、実践しているだろう。しかしどんなに気をつけていても、事故は起こる。
ケガを呼び込んだ原因は自分にある、集中力の欠落だと敬愛するコーチはブログで書いておられて、小僧にその文章を読ませる。
大丈夫、みんなケガから復活してきたのだ。大丈夫。と、自分に言い聞かせる。
私の仕事はプロのおかあさんだ。
だから、こんな時に弱気になっちゃいけないんだ。不安は、小僧が一番感じているはずなんだから。

おかん稼業は、病気や怪我のときに真価が問われる。
今日、専門外来に行く。自分の予定は全部すっとばす。久しぶりの仕事が、明日でよかった。まだ、神様には見放されていない気がする。

2010年10月05日 06:48