2009年12月20日

スズキさんちの年末

馬の鼻っつらににんじんをぶら下げると、その馬は早く走るという。
私は、昔、いまひとつ元気がなくなると新宿丸井インテリア館に行き、「よっしゃ! こんな部屋に暮らしたる!!」とテンションを上げて、ばりばり仕事をしたものだ。
DNAはバカにできない。
回転しない高級寿司を食べたい!と強く希う娘は、中間試験でその条件の100点をクリアしたのだが、今回の期末試験でも、フレンチフルコースを私に約束させて、またしても数学で達成してしまった。
私が大学の一般教養の試験でどうしても回避しなければならない教科が、数学だというのに。
理数系の明るい相方似なのかと思いきや、絵は笑っちゃうほど下手だったりする。
相方の同業者の保護者も珍しくない学校に通いながら、娘だけは自分の父親の職業をひた隠しにしているという。漫画家の子どもはたいてい絵がうまいのだ。カエルの子はカエルなのに、うちの娘だけはカエルの頭に人間の体みたいな、「カエル人」のような人なのだ。首のところのつなぎめを見てみたい。(参考資料・笑い飯「鳥人」/あっ、ウィキペディアでは削除されている!)
「女子サッカーチームにいる間に、対外試合でゴールを決めたら世界一周」は、ついに達成されることがなかった。この辺りも運動神経だけは自慢の、私の子ではない。
しかし、こうと決めたらど根性。そのあたりは、案外よく似ているのかもしれない。
今日は弓道部の納め会だったらしく、とりあえず入賞して、賞品のチョコレートをもらってきた。食べ物がかかると、俄然強い。彼女の食い意地は、尋常ならざるものがある。
「その子なりの場所」というのがあるんだなあ。来年も、今年同様、当たり年なら結構なことだ。

勉強しろと言ったことがない姉がいて、やらなかった宿題をこっそりやったことにしていた弟がいる。
くもんの宿題をやっていなければサッカースクールには行かない、という約束なのだが、これまたこっそりくもんの先生に手紙を書いて、宿題をやっていないことをお母さんにはナイショにしてくださいと頼んでいたりする。
嘘がつけるようになったのだから、それは大きな成長の証。
と、ちょっとばかり喜ぶ気持ちと、しかし放置すればロバになりそうな怠け者の部分が、怖い。これまた締め切り厳守の生真面目な私とはずいぶんと違いはしないか。運動神経や筋肉のバネは似ているけれど、何かが違う。いわば、頭だけ人で、体はカエルの、「人カエル」のパターンだ。

おとうさんとおかあさんの遺伝子が半部ずつって、そういうことだったのか?!

昔、私が母ヨシコに言われて最もつらかった言葉は「普通の子でよかったのよ。私が欲しかったのは、普通の子!」であった。
二十歳過ぎて普通の人になったつもりだが、考えてみれば普通の女子はど根性を旗印に、一人暮らしして、フリーランスで仕事して、なんて道を選ばない。
しかし、全く普通じゃないから面白い金髪の相方がいて、自分は家族の中で普通すぎると悩むが魔窟に棲める娘がいて、普通のレベルを凌駕して特別に支援されそうになった小僧がいて、スズキさんちは笑いが絶えない。
今日のサッカーの試合でも、おかんは小僧のかっこよさにうっとりした。小僧がベンチに座っているだけで、おにぎりを食べているだけで、うっとりした。すでに、愛情ダダ漏らし。普通ではない。
時々疲れてイライラしながらも、適度に発散して、まあ、なんとかやっている。
我が家のプチ魔窟は放置したまま、大掃除には全く取りかかれず、楽しい試合の方を優先して、大学のレポートは停滞していて、あらら、似ていないと否定していたはずなのに、娘と小僧をこの身にしっかり映してるんじゃん。親子だね。
それでも笑いっぱなし、しゃべりっぱなしで過ごすちょっと普通じゃない毎日は、悪くない。M-1もおもしろかったし。
2009年、そんな年の瀬。

2009年12月20日 23:32