2006年10月05日

障碍の受け入れ

ちょっと憂鬱になってきたときは歌を歌う。
♪ドン・キホーテ サンチョパンサー ロシナンテ & 俺
笑えて泣ける、変な名前♪
この「天国生まれ」は歌っている内に愉快になって来ちゃう素晴らしい秘薬なんだが、興がのってくると気分が盛り上がり、本当に大声になってしまうのが困ったことだ。気がついたら、すれ違った人に笑われた。
道路で、自転車をこぎながら歌う歌ではなかったみたいだ。

スーパーで買い物をして、お漬け物を買い忘れていたことに気づいた。
「この、うつけ者めが!」
と声色を使って自分を叱ってみたら、腹の底から笑いがこみ上げてきて困った。殿様系の声色がまずかった。スーパーで一人で笑っているのはアブナイ。

ま、たいていの陰鬱はこの程度でシャットアウトできる。

さて、なんでそんなに陰鬱になっているかというと、お友達の、(いやこの際知り合いのに格下げだ、いやもうなんだったら通りすがりの人でもいい)お子さんがつい先日、自閉ちゃんかもしれないという知らせが届いたからだ。
類は友を呼ぶのか、世の中に自閉症はこんなにメジャーな病気なのかよと最近勘違いしそうになるほど、その手の話が寄せられる。実はちょっと傾向が、とか、息子の従兄弟が、とか、友達の子が、とか。
いいぞいいぞ、身近な人への愛こそが知識を浸透させる媒介になる。こんな私でよかったら、何なりと聞いて。話もブログも長いけど、ありったけをお見せするわ〜ん。と、いう姿勢でお待ち申し上げている。
ジヘイちゃん、という事実は永久不滅ポイントなので、それなりに大変だが、私はジヘイちゃんマニアにして、ジヘイちゃんを愛しているので、気落ちする必要は全くないじゃーん、おもしろいぜぇ。といつものようにお返事した。
そしたらさーっ(ここから怒りモード突入なので、心穏やかに過ごしたい方は、ここでお別れです、ではまた明日)。
もう完全に「きっぱり、認めません。うちの子はそんなへんてこな病気なんかじゃありません。こんなとことこんなとことこんなとこが違うし!」なんだ???
認めたくない気持はわからんでもないが、んじゃうちの福助はどうなんだよぉうっ!! 何だとおもってやがったんだよぉうっ!! と、憤慨したのち、気鬱になったのだ。

てめ、やってるこたぁたいてい同じなんだよ。
お天道様が登って朝起きて、ご飯食べて、やるべきことやって夕焼け空を見たらおうちに帰って、ああ極楽ぅなんて言いながら風呂に入って、うまいなあと思いながらゴハン食べてさ。で、今日はこんな幸せな事があったよって、家族で幸せを分かち合って、歯を磨いて寝るんだよ。いい夢、見てな。
それは、健常でも障害児でも同じなの!
親が子に与えられる最大の幸せは安心。
子どもからの見返りは、その存在。
その幸せの質に、大差ないの!
健常だから幸せが1.5倍増しってこともないしね。
そんなこともわかんないなんて、ばっかじゃないのー!!
私の尊敬する友達には、健常のくせに、何故か虫に異常に固執したり、協調性が皆無だったり、オヤジへの媚が抜群だったり、都市整備と東京の未来をずーっと考えていたり、女の子なのに鼻の穴に綿をたっぷりつめてガッツ石松顔で鼻血ケアしても全然平気で学校に行ったり、母親名義のどうぶつの森の住宅ローンをあっという間に完済する孝行息子だったり、英語しゃべってたり、珠玉の名言を吐く詩人だったり、レゴの名手だったり、逆にまるっきり普通すぎて個性が発見出来なかったりする、ある意味突拍子もない、育てにくい子どもが多い。そのグレイゾーンみたいな変わり者のお子たちがよりよく生きられるためにと親たちはみんな涼しげな顔をしつつ、歯を食いしばって子育てしてんだよ。
「うちの子、変でさぁぁぁぁ〜」
と、嬉しそうに自慢してんだよ。そういう中に、福助の「サッカー狂」もいれてもらってんだよ。お・ん・な・じ・だ。
まったくもー、どこからが個性でどこからが障碍だ、そんなに偏見があって障碍がイヤなら、ちゃんと線引きしてみせてみろってんだ!! 障碍なんて、とびっきりの個性じゃないか。個性的な子がいいんじゃないのかよ、自慢こそすれ、卑下する必要なんかどこにもねぇよ。

「社会の迷惑」などと2ちゃんねるで書かれているのを読んで傷ついたと言われても、悪いが共感出来ないな。君がそう思っているから、そんなくだらない言葉が心に入り込むんだろ。鼻で笑ってやればいいんだよ、男だったらしょんべんひっかけてやるぜ!ぐらいの気概を持てよ。それでパソコンにひっかけても何だけど。
と、憤怒は続くのだ。
自分が傷ついててどうするんだ、子どもを守れなくなるぜ。
そういう意見を公然と書くヤツもどうかとは思うけどさ、そんな見たこともない関係ないヤツが何言ったって関係ないねッ! 自分に関係がある自分の周りにその分、気を遣えって。万一、子どもが迷惑かけてんなーと思ったら、自分が働いて還せばいいじゃんか。
一生懸命子どものために働いている親に向かって、面と向かってそんなこといえるヤツがいたなら、そいつこそが社会の迷惑だって、黙っていたって社会が審判してくれる。
第一、そんなくだらない板読んで泣いているヒマがあったら、本の一冊も読めって。その方が百倍、子どもと自分のためになるだろう! 方向が違う違う違う!! 人様の目を見るな、自分の子どもの目だけ見とけ。目線があわなかったら、まず目線を合わせることを目標にしろ!!!

ああちょっとサッパリした。やっぱ、憤怒はいいわ。気鬱より憤怒だな。
時々、健康のために、憤怒しよう。

受け入れには時間がかかる人がいる。
それは自分の中にある偏見や不安との闘いだからだ。
逆に言えば、偏見を取り除き、不安に対して見通しが立てられれば、ひとまず状況は飲み込めるということだ。そういう闘いはどんどんやればいい。やる気まんまんマンになって、どこまでも闘うんだ。自分の体力と知力がムキムキしてくることの喜びも同時に感じられる、醍醐味いっぱいの育児が待っている。
自分強化トレーニングになっているのが、子育てのもっともおもしろいところだ。たまたまそのトレーニングコースが、優秀な子女を育てるみたいな、らくらくハイキングコースではなく、問題の多いがちがちの登山コースだったというだけで。
なんの、どんとこーい! K2!!
中には初心者なのにいきなり厳寒の冬山がご用意されていて「ピクニックのつもりだったのにぃ」と泣きたくなっちゃう人もいるかも知れず、それはよーくわかるんだけどさ、泣いている間にも、子どもは食べて眠って、成長し続けているからね。
大丈夫、仕切り直して装備整えていけばね、きっとなんとかなる。
助けてくれる、経験豊富なシェルパもいるから。
頑張ろう。泣いて過ごしても60年、笑って過ごしても60年だ。
頑張ろう。笑い転げながら、生きていこう。

今、身近なママ友の中にひとり、息子さんの広汎性発達障害をまだうまく受け入れられない方が。告知されて半年、まだ動き出せずにいる。福助のことをいつも気にかけてくれた人なので、福助の存在が今度は彼女の助けになればいいなと思う。
彼女にしても、彼にしても、うまくスイッチが入ってくれればいいなと、心から祈る。

2006年10月05日 03:15
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