2006年07月20日

この指の痛みを

指に血豆ができるほど、コドモを殴ってはいけません。
空振りしたときにどこかに当てたのでしょうが、宝物に手を上げるとは何事かと誰かに罰せられた気になりました。

そして、この日記をアップするまでにずいぶん時間がかかりました。
書いたまま、デスクトップに放置していました。
福助、図書館で借りる本を無断で持ってきてしまったという、事件です。

借りないの? と聞いたときには、借りないと言い、さっき読んでいた本は? と聞いたときには返したと言った。
ところが帰宅後、そのやけに気に入った本が福助のバッグから出てきたのです。
それで、これはどうしたのかと聞くと、黙っています。
確信犯かどうかを確認して、
……で、思いっきり、殴りました。
同時に、怒鳴りました。ごめんなさいと泣く福助の顔に、恐怖が確実に芽生えるまで、私は怒鳴り脅かし、そしてひっぱたきました。
P子は別の部屋から様子をうかがいながら、震えて泣いていました。

無断でもってくるのは、盗みと同じ、それはとてもいけないこと。
泥棒は、お巡りさんに捕まり、牢屋にはいり、二度と会えなくなること。
嘘をつけば友達がいなくなるのだから、考え無しに受け答えしないこと。

それから二人で駅前の図書館に戻り、福助は自分で謝りました。私が事情を説明して係の方に陳謝し、係の人もわかってくださったようで、福助を軽く叱ってくださり、本の借り方を丁寧に教えてくださいました。

図書館を出て、今度は私が泣きました。
それを見て、福助も泣き、もう一度ごめんなさいと言いました。
ちいさく頷いてから、何も言わずに自転車をこいでいたら、福助が後ろの座席から、私の右手をとりました。人差し指の内出血が痛かったけれど、そのまま手を福助に預けていると、福助は黙って、小指をからめてきました。
無言の、指切りでした。

奇しくも、その日、私が図書館で借りた本は、「自閉症裁判」でした。
レッサーパンダの帽子をかぶり、友達になりたかったからという理由で通りすがりの女性を刺し殺してしまった、知的障害者のドキュメンタリーです。
福助を犯罪者にはしない。
絶対に、しない。

この血豆の痛さより、あの指切りのぬくもりを、私は信じたいと思います。
一生、信じたいと思います。

2006年07月20日 23:29