発売当初の1月後半は、KADOKAWAセールがあって、売れても売れても300位に入れない。という状態でしたが、70%オフが終わって落ちついたおかげでジリジリ順位を上げて、今31位まで上がってきました。
去年だったらコミック部門ダントツで1位が取れてる数字なので、Kindleのコミックも相当売れるようになって、簡単にランクインすることができなくなってます。ベストテンに届くかなー。(リンク左が電子版、右が紙版)
確定申告の時期が近づいてきたので、去年のKindleのあがりを計算してみました。
Amazonは支払調書を発行してくれないので、銀行振り込みを手で計算したものと、KDPレポートで毎月の売上を足したものを突き合わせました。(レポートは12月末日までのデータですが、振込は2ヶ月遅れるので、数字と振込の値段は微妙に違います)
怖いのは、Amazonの振込は源泉徴収されていないということです。
アメリカの税金を避けるために面倒な書類を出してクリアしたけれど、日本での課税はこれから。ということをすっかり忘れていました。
普通の日本の振込は10%が天引きされて送られてくるので、申告することで、払い過ぎた税金が戻ってくるしくみなのですが、源泉徴収されていないAmazonの場合は、ここから税金を支払わないといけないということですね。
どっかんとやってきます。すでに怯えてます。
やべえ。
で、どのくらい売れたのか。
さあ、何も隠すものはないので発表しましょう。
ギリギリ温泉1 21,410部
2万部超えました。すばらしい。
1冊100円、料率35%なので金額はあまりいきません。
793,448円
80万円弱。2万部でそれくらいですね、
部数に35%をかけると749350円のはずですが、5万円近い誤差はなにか、というと、多分貸出分ではないかと思います。
Kindleは月に1冊ただで本を読むことができるサービスがありますが、読者はただでも、作者に一定の金額が支払われます。それは売れるのとほとんど同じくらいの金額になるので、あのサービス悪くないですよ。
ギリギリ温泉2 10,157部
2,303,902円
2巻は半分くらいの人が継続してくれました。金額が230万円と跳ね上がります。本が400円になったことと、印税率が70%に上がったことが大きいですね。
ギリギリ温泉3 8,097部
2,114,839円
2巻→3巻の販売数はあまり落ちません。
それと去年の8月くらいから、通信量1MBに対して作者が1円支払う、というしくみが国内では廃止されました。大きな漫画ファイルは30MBほどあって、30円が通信料金として抜かれていたのですが、今は400円の代金の70%、280円がそのまま作者に支払われます。
これの廃止は実は大きいです。Amazonえらい。
そういうことを大きな声で言わないんですが、細かい改良はたくさんされてます。
ギリギリ温泉4 8,014部
2,073,344円
3巻→4巻は非常に多くの継続率で、3巻まで買ってくれた人は最後まで読んでくれるんだなあ、と嬉しくなります。
全4巻、全5巻くらいが買いやすいのかな。と思ったりしてます。
アジアを喰う 2,101部
685,174円
この本は、唯一出版社に印税の一部をバックする。という契約で出しました。
印税は30%。Amazonから払われた685174円の30%を鈴木みそから双葉社に支払います。
これ、面倒なのは、消費税をどうするのか。ということです。
Amazonが最初から複数の著作権者に分割して払ってくれればいいのですが、KDPは一人に対してしか支払ってくれません。
しかたなく、消費税、支払い手数料はこちらが負担しました。
作者、出版社が半分ずつわける。という契約をした場合、Amazonの支払対象になった方が消費税を負担することになるので、そのあたり契約をつめておいたほうがいいと思いました。細かい話ですが。
マスゴミ 1,689部
440,496円
Kindle連載で話題になった「マスゴミ」2000に届いてません。
面白いと思うんだけどなあ(笑)
これはKDPのレポートではなく「ベンダーセントラル」で部数をチェックできます。これ見やすくていいんですよ。全部これになってくれると毎月の売上とかエクセルで打ち出さなくてもいいのに。
これはKDPのレポートではなく「ベンダーセントラル」で部数をチェックできます。これ見やすくていいんですよ。全部これになってくれると毎月の売上とかエクセルで打ち出さなくてもいいのに。
僕と日本が震えた日 6,812部
1,560,762円
何度か安売りをしたりして値段を変えたので、150万ほどの売上ですが、7000部弱はよく売れている本です。
この売上の一部を寄付することは何度も書いていますが、一昨年41万円(赤十字)。去年50万円(東大)、今年も50万円ほどの寄付をする予定です。無理をしない範囲で長くコツコツ続けていきたいです。一部フィリピンの台風被害にも行ってます。
エガリテ 412部
33,600円
Proper Ways to Detect and Measure the Amount of Radiation
14部
490円
と、いうことで、トータルでどうなったかというと。
じゃーん。
58,706部
10,006,057円
行きました。1千万円!
みなさんありがとうございます。
大台乗りました! いやあ、すげえ。
「ナナのリテラシー」で描いた通り、しょぼい漫画家なので、こんなに売れたことないです、ホント(笑)
で、今年はどうなのか。
電子はどれくらいいくのか。
毎月30万円くらいコンスタントに売れているんですよ。
いつまで続くのかはわからないんで、まったく安心はできないんですが、新しいユーザーが電子に流れ込んで来るんじゃないかというのがプラスの部分。たくさんの作品が電子化されて、出版社がセールを繰り返すことで、個人の作家が目立たなくなって売れなくなるのではないか。というのがマイナス部分。差し引きでちょっとプラスかなと。
今年は3分の1から半分くらい、300万から500万円くらいは電子でいけるんじゃないかとみてます。
新作も出していくしね。
引き続きよろしく見守っていてください。
あ、そうだ。
「てんまでとどけ」について大事な発表があります。次の日記をお楽しみに!
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追記(2月9日)
いろんなサイトに貼られたり、2ちゃんにスレッドが立ったり、数字がひとり歩きしてます。
ここのブログまで飛ばずに、数字だけ貼った記事にコメントをみんなつけているので、めちゃくちゃ(笑)
大きな勘違いは、「1,000万円のうちここからアマゾンに3割取られる」と言っている人が多いこと。
これはすでに売上からアマゾンの取り分を抜いた「純利」です。
この1,000万円が鈴木みその収入のすべて。だと思っている人も多いですが、これはアマゾンで売った電子書籍の売上のみです。
というようなことをここで書いても、ソースにあたる人はほとんどいないだろうと思うので、しょうがないんですけどね(笑)
「鈴木みそ程度でこんなに売れるのか」
という意見はまったくその通りだと思うので、他の漫画家のみなさんもはじめましょう。
電子書籍の挑戦を漫画で描いた新作(ナナのリテラシー)試し読みはこちら!
sweetie
印税王、おめでとうございます!
ぼくの貢ぎは、数千円いくかいかないかですが…。
てんまでとどけ、打ち切りは避けてもらいたいです。
そんなことをしたら、マック??ープル買います(笑)
ぐぐり
大台突破おめでとうございます!
教祖の幸せは信者の幸せ!
「大事な発表」とは?
ストレートに考えれば打ち切りですが、そんな分かりやすいネタなのでしょうか・・・?
紙から電子連載物に変えるとか?
教祖(鈴木みそ)
打ち切りじゃないです。
ユーザーにとってはいい話です。
それも書かなきゃいけないんだけど、別件のお仕事が詰まっているのでそれが終わってから。
子どもの頃よくファミコン雑誌で先生のマンガよく読んでたので、おっおっさんになってKindleで先生のマンガとのひさしぶりの再会はうれしい出来事でした。電子書籍でもやり方次第でちゃんと食べてレベルの稼ぎが得られるんだと知って驚きですね。ちょっと電子書籍をなめてました。税金、諸経費差っ引いて実質手取りどれぐらい残ったのかレポートして頂けるとうれしいです。日本中の物書きに関わる方々は、みんな興味津々なんじゃないですか?
匿名
ここから税金、どんだけ引かれるん?
匿名
鈴木ドイツ氏の印税収入に勝ちましたか。
教祖(鈴木みそ)
追記しました。
いろんなサイトに貼られたり、2ちゃんにスレッドが立ったり、数字がひとり歩きしてます。
ここのブログまで飛ばずに、数字だけ貼った記事にコメントをみんなつけているので、めちゃくちゃ(笑)
大きな勘違いは、「1,000万円のうちここからアマゾンに3割取られる」と言っている人が多いこと。
これはすでに売上からアマゾンの取り分を抜いた「純利」です。
この1,000万円が鈴木みその収入のすべて。だと思っている人も多いですが、これはアマゾンで売った電子書籍の売上のみです。
というようなことをここで書いても、ソースにあたる人はほとんどいないだろうと思うので、しょうがないんですけどね(笑)
「鈴木みそ程度でこんなに売れるのか」
という意見はまったくその通りだと思うので、他の漫画家のみなさんもはじめましょう。
KATA
あれ、私、先生のKindle版全部買ってるんですが、
銭 も持ってますけど、あれは計算別ですか?
自主でやってらっしゃらるのが記事のもので、
銭は出版社扱い?
教祖(鈴木みそ)
「銭」はエンターブレインから出ていて、半年に一度(!)販売数が報告されますが、発表しないように釘を刺されていますw。
全7巻、Amazonを含めたほとんどの電子書店で売られていますが、数字は大したことありません。
Kindleと他の書店のシェアを見られるので重宝してます。
通りすがり
まとめから来ました。
当方も本当に零細の描き手ですが、こういった情報を公開していただくことにより、作家さんが電子書籍を販路に利用する流れが生まれ、多くの作家さんが食べられるようになれば、もっと多くの作品が生まれる土壌ができるなと嬉しくなります。
先生の作品は銭しか存知ませんでした(すみません!)が、この機会に拝読させていただきます。もちろん、電子書籍で。
あむぁい
大変参考になります。
源泉徴収の無い1000万ですかぁ。
確定申告の後の住民税、そしてさらに予定納税と税金パンチが厳しいですが、これからも面白い漫画をお願いしますです。
信者
とうとうYahooトップも飾りましたね。おめでとうございます?
漫画家・鈴木みそさん、電子書籍の収支をブログで報告 9作品の売り上げは……
しかもちゃんとここへのリンクつき!
読ませていただきました(`・ω・´)
すごいですね。青色申告であることを願います。実は私は表現規制が敷かれている電子書籍を好ましく思ってません。
というのもAmazon(Kindle)など電子書籍は内容を監視してる人がおり、もし通報されたら日本国内ではokな内容でもすぐに取扱い中止になっております。当然紙版も巻き込まれてAmazonで販売中止にもなります。特に性的表現やBL作品など…先日も2/5にAmazonでランキング1位になった方の漫画が突然に取扱い中止になりました。今まで多くの作者の作品が通報されランキング上位になってもAmazon扱いを解除されている状態です。
また現与党が予定の「TPP」や「国家戦略特区」により、出版社に電子出版権や隣接著作権の付与などがすすむと、今までみたく作者が自分の著作物を自由に扱えなくなることが危惧されてます。また電子出版を前提とした編集担当からのNG連発・表現規制・自主規制が強行すると、表現の幅が制限された結果、近似作品が溢れて人気喪失や、パクリ作品謂れ叩きなども横行し、作者同士のパイ争いの過熱も予想されます。
「60億円大ヒット映画、原作者には100万円だって」の記事の通り著作権の利権化がすすむと、原作者には雀の涙しか入ってこなくなります。すでに音楽界では原作アーティストの方が自分の作品の回収に大変な苦労をしております。電子出版だけでは一部の人しか生活できてない状態もありますので私としては今後を強く警戒しております。
まにあ
電子書籍、高いですよね。
購入するとしても、そんなに何度も見るものでもないんですから、
レンタルビデオのように、もっと安くできないものでしょうか?
1年以内の新作300円。2年目は準新作200円。
3年目以降は旧作として、100円ってのが妥当でしょう。
ろけっと
余計なコメントですいません。
これらの作成に関する費用はどうなのでしょうか?
きちんとしか計算は難しいかと思いますが、もし良ければ、教えていただけると参考になります。
教祖(鈴木みそ)
>通りすがり、信者
この機会に読んでくれる人が増えれば、と思ってます。
すごい勢いでRTされて、Yahoo!のトピックスにもなったので、数10万という人が目にしたと思います。販売にはあまり結びつかないかもしれませんが(笑)
>あむぁい
税金は頭痛いです。いくらくらい来るかなー。
そこはオープンにしないので、色々想像してください。
>読ませていただきました
AmazonやAppleによる表現規制、特にエロ関係に関しては、自分もその基準がオープンになっていないことにたいして問題だと思ってます。
ただ、別の見方をすると、これはとても大きな書店が何を扱うのか、書店が決める。
ということでもあり、国と国の話や表現の自由という大きなカテゴリーの話ではない、ということも言えます。
日本の国内の出版社がスクラムを組んで色々なことを進めている状況が健全だとも思っていません。
非常に難しい問題ですが、自分の個人レベルではどうか。ということをいつも考えていきたいと思います。
>まにあ
高いと思ったら、安くなるまで買わなければいいわけです。高い安いは相対的なものですから。何が妥当かは市場が決めるものです。
>ろけっと
費用というのは漫画家である自分が、何日の労働をしたか、ということで暫定的に出すことはできますが、あまり意味がないですね。パソコンやソフトウェアで新たに購入したものはないので、コストはかかっていません。時間的には暇な時間に2週間ほど勉強して作業しました。
@mikawa888
本日、東京・西荻窪の書店で「ナナのリテラシー」を見つけて購入しました! とても面白かったし、メディアで禄を食む人間の一人として大変参考になりました。出版界、新聞界の現状(零落状態)は身に染みてますが、こういう船出も必要ですよね。
他の作品も読んでみます?と思ったら、限界集落温泉はコミックビームかな、で連載を読んでいました。キンドルで買おうと思います。
教祖(鈴木みそ)
紙の「ナナのリテラシー」お買い上げありがとうございます。
いや、実は紙の方、あまり動いてないんですよ。
初動もう少しいくかと、みんな思っていて、3万部をちょこっと減らしまして2万にして、すぐに増刷がかかればいいな。などと言っていたんですが、なんと。
1万部そこそこしか売れてない。
半分ですかー。
これ大変なことでありまして、ゆっくり連載続けられない数です。5巻くらいまではやれると思って、キャラ作ってたんですが、このままだと3巻くらいで終わり。ヘタすると2巻終了ですよ。
紙の単行本が売れないと原稿料払えないので打ち切られてしまうのです。
電子版は売れているのか。というと、電子としては売れているけれど、「マスゴミ」くらいで、やっと1000部を超えたくらい。
あれだけ話題になっても、電子書籍の金額の話であって、作品を買って読んでくれる人はほんの0,何パーセントというところですね。
電子も少し動いているので、紙も先々週から見たら売れたのかもしれないけれど、編集から連絡ないし、あまり変わらないのだろうと思います。
うーむ、現実は厳しいのであります。
Cyber_MAD
ちょっと記事内容と関係ないですが(笑
日本コンピュータシステム NCS メサイヤのwikiみてて
出展のところに あんたっちゃぶる 1巻54ページ 鈴木みそ アスキー出版局とあって
あー懐かしい鈴木みそだーファミ通買ってたとき好きだったなーなつかしいなーと思って鈴木みそwikiから飛んできました(笑
なんだか売れっ子?になっててうれしいです。
全部読んでみたいですがKindle用なんですね(笑
kindleかっちゃうかにー鈴木みそ専用機!!贅沢(笑
匿名さん
先生のご活躍を目にして嬉しく思います。
現状のこれだけの売上があれば、他の漫画家さんも目からうろこが落ちるのではと思ってしまいますね。
出版社の人気アンケートなどで打ち切りになってしまうことなく、長期連載が続くようなシステムの基礎になればと思う次第です。
これからもがんばってください。
教祖(鈴木みそ)
「Kindleは専用端末を買わないと読めない」
と思ってる人は世の中に意外と多いんです。大丈夫、無料アプリを入れることで、スマホで読めます。
パソコンしかない。という人(がどれくらいいるのかわかりませんが)には、今のところ読む方法がないです。と答えるしかないですね。
Nexus7がすごくいいからオススメします。
教祖(鈴木みそ)
活躍といっても、電子でまだ6万部程度しか売れてないんですね(笑)
10万、20万部と売れていけばいいんですけど、そうもいかないだろうなあと思っております。
雑誌という媒体じゃなく、長期連載することは現状では無理です。電子が普及してみんなが買うようになれば、可能性はあるんですけどねえ。
いつも打ち切りにおびえて生きることは、あまり変わらないのです(笑)
Cyber_MAD
あのあとスマホさわってて、あっそいやkindleアプリあったようなと・・
おもってすぐ入れていろいろ読んでます(笑
とりあえず気になったの即効数冊ぽちってしまいました!
もちろん教祖の本ですよ!!
いますぐワンクリ購入って簡単に買えてしまうのが・・
買いすぎてしまいそうで怖いッス
確かに5インチでは読むのしんどいッすねー
Nexus7かっちゃうかなー
結局教祖専用ですがな(笑