



ココアマンは自由にプリントアウトしたり、配布してもまったくかまいません。
(セリフや内容を改変することはやめてください)




鈴木みそ オフィシャルブログ
現在ウェブサイトを改造中です。しばらく見苦しいかと思いますが、まあ最近は全然更新していなかったので訪れる人もいないでしょう。
年末の空いている時間でちょっとがんばります。

大沢という村の青年団「山里会」が発足50年を迎えたというので、村で出す本の表紙を頼まれました。
「何を描いてもいいから」
というのはなかなか難しくて、めちゃくちゃなものを描けば描いたで「これじゃない。こんな感じじゃなくてー」と言われるのは目に見えているので、さて何を描いたものかと、相当考えたんだけど、結局毎年やっている盆踊りのイラストにしよう。キャラはそうだ、限界集落(ギリギリ)温泉のキャラで描けば、誰か間違って本を買ってくれるかもしれない(多分買わない)ということで、数年ぶりに描いてみました。
でもヨメに見せたら「だれこれ?」
誰って、ほら、あのメンヘラのコスプレのお姉ちゃん。
「えー? こんな可愛くなかったよ?」とのこと。そうかなー? オレの中では時間がちょっとたってこのくらいの印象なんだけどなー。
少年の方はかなり大きくなっていて印象が違うので今回は見送りましたw.
バックにある立て看板は、実際にあるんですよ山の道に。
写真だとこう。
これは小屋の壁に貼り付けてますが、ほとんどは板に書かれて棒で道の横に立てられてます。
全部写真に取るとレアポケモンが、
いや別にもらえません。道だと通信つながらないところもあるしねw.
えーとまあ、そんなところです。
もう一昨年になるのかな。飛行機会社の機内誌の表紙+見どころをマンガで描きました。飛行機の椅子の後ろ側に刺さってて、他に見るものもないのでパラパラめくるあれですよ。
原稿料も良かったんですが、取材が現地に行って「これはすばらしい」というものを飲み食いしてそれを短いマンガでまとめる。というとても美味しいお仕事でした。
年4冊作るという話だったんですが、内部で人が移動しているうちに企画が変わってしまい、2回で終わってしまいました。
このセブ編と北海道函館編。このお仕事は楽しかったんでまた来ないかなー。
地元紹介マンガやりたい自治体とかどうですか。連絡はこちらへ。
miso@misokichi.com


いいところだったなー、オスロブ(フィリピンセブ島)
お暇な人はぜひどうぞ! バニラエアなら、普通の飛行機よりめっちゃ安く行けるので、その分現地で美味しいものが食べられます。

9月の終わり。エージェントの会社との交渉にやってきた。
蓮はまだ未成年なので、父親としていろいろと細かい部分をつめていかないといけない。
半年で200万円近いフィーでは4年間支払うのは厳しい。本人が自炊してアパートで暮せば少しは安くなるんですか。というご相談などを含め。

相手のエージェント会社代表(30代中盤)は、思ったより渋めの表情で、「予想外のことがとても多いです。予想通りにはまったく行きません。うまく行くと考えていては失敗するので、甘い見通しを持つのは禁物です」
と繰り返す。
こちらも、自分はフリーランスで長くやってる漫画家なので、フリーの厳しさはわかっているつもりです。海を渡ってしまえば、誰の責任でもなく全部自分の問題なので、まあ二度と日本に戻らないくらいの覚悟で行けと言ってあります。
眉毛に力を入れながら硬い表情を作って返す。
ところが、話すうちに空気が違うことに気づいた。
「こちらとしても、バルデスが監督になるなんて、まったく予想外なんですよ」とエージェント。
「毎年何億も年俸もらって10何年もやってた超一流のプレイヤーが、こんな小さなチームの、しかもユースの監督になるなんてありえないですから。私達も驚いてまして」

「ポジションについてですが、私達も他の監督なら『前で使ってよ』って言うんですけど、バルデスが「センターバックで使いたい」と言っているんで、そこはなかなか言いにくい。
でもセンターバックとセンターフォワードというのはチームにとって非常に重要な、いわゆる背骨です。サイドや中盤とは違うものです。
ぼくらがエージェントとして送っている日本人プレイヤーはほとんどが中盤とサイドばかり。
センターバックは日本人ではほとんどいません。吉田麻也とあと一人しかいない」
だんだん話に熱がこもってくる。
「EUでは海外選手は3枠しかありません。この貴重な3枠の奪い合いになりますから、センターバックというのはとても有利です。とてもむずかしいポジションなんで前をやってたプレイヤーがいきなりやれないんですが、蓮くんはサッカーインテリジェントが高いという評価をされてますね。
ホント異例ですが口約束ではなく、書類でのオファーがモラタラスから来ました。
23人しかない選手の枠に入ったということです」


「蓮くんは180センチを超えてるのが大きい。ただ横が足りない。もっと肉を食べて体重を増やさないと当たり負けします。
ものすごいですよ。向こうの黒人プレイヤーなんてものすごくでっかくてメチャクチャ食います。あとは言葉です!」
いつの間にか溢れるような笑顔で話をしている。
「日本でも大きなセンターバックはいつも足りていません。4年なんていう時間の余裕はなくて、この半年集中してください。ここが勝負です。ある程度実績ができれば...、
EUのプロリーグに入れれば、その後Jリーグでもオファーが来るかもしれないし、うまくすれば...」

ああ、ひょっとすると彼は、予想外にうまくいってしまって、しかも化ける可能性が高いと思っているので、それを顔に出さないように渋い表情をあえて作っていたのかもしれない。
よし、方向は見えた。
とりあえずバルデス監督の下でセンターバックの修行を積んで、ユースの年齢ではなくなる半年後、リーグの終了する6月以降、どこかのプロチームに入り込むのが目標。
彼のルートで紹介してもらえるのがとても大きい。たまたま行ったユースチームにバルデスがいてくれたことが、二度とない僥倖だったのだ。
誰? とか言っててすいません(笑)
SNSでの本人の書き込みは注意深く。
オレが書くことは問題なし。(そんなことを言ってきた保護者は初めてらしい)
ビザを取ることがもっとも難しく3ヶ月はかかるので、最短でも12月中の移動はなし。
高校選手権が終わったらすぐに日本での選手登録を抹消してもらう。
1月の頭にスペインに行くというスケジュールがたてられた。


健康には気をつけて。
「やばい! パスが速くてついていけない」
スペインでの練習初日、ワンタッチですばやくパスを回す鳥かごをやりながら、今までとまったく違うスピードに蓮は戸惑った。
スペイン語で「頭」「肩」「膝」などと部位をコーチが言う。すばやくその部分を触ってからボールを蹴る。というゲームも言葉がわからないと大きなハンディキャップになる。
最低数字は頭に叩き込まないと、瞬間的に背番号を発声出ないと話にならない。
「でも移動しながら瞬時に三角形を作っていくってことに慣れて、後半は高速で回せるようになってコーチにすげえ褒められたよ」
という話を帰ってきてから聞いた。
そういう面白い話はどんどんメールしろよ。

練習に参加したのは「モラタラス」というナショナルユース2部のチーム。
「監督がバルデス」
「試合に出ました」
というくらいしかラインが来ない。小学生かよ。
どうやら試合に出たらしい。
サイドバックで試合に出場。本来のポジションではなかったが、まずまずの出来。
試合での動きを見たバルデスに「明日もおいで」と言われた。
最初何人かいた日本人練習生はだんだんいなくなって、自分ひとりだけ残った。
毎日試合に出てるけど、バックスでの起用。
本当は前(フォワードか2列め)の選手なんだけど、監督にエージェントから伝わってないのかもしれない。
明日直接話してみる。
と蓮。
1ヶ月しかいないのに、もう2週間以上も同じチームにいる。
複数のチームの練習に参加して、チャンスを見つけないといけないんじゃないの? それでいいの? と母親が心配している。
「いやエージェントに他のチームも見てみたいって言ってるけど、試合にも出てるし、もうちょっとここにいた方がいいってことで」
スペイン語の学校はどうか。お金は足りているのか。食べ物は口に合うか。ホストファミリーはどんな人か。
母の心配は尽きない。
楽しそうにやっているので、まあ心配ないだろう。
写真を見る限り、日本にいるよりいい顔をしてる。
本当は向こうの銀行口座を作るとか、アパートの値段を調べるとかしてもらいたいけど、サッカーで頭がいっぱいなんだろうからしょうがない。
ワインが美味しいらしいから、様子を見に行きたいなー。と思わないのでもないが、父も忙しくてスペインまで行ってる時間がない。もちろんそんな金もない。
試合は準決勝まで出ていたが、レギュラーが怪我から戻ってきたので決勝戦は出場できなかった。「でも優勝したからいいや」と蓮。
この試合というのはスペインユースのかなり大きな大会で、新聞に出るくらいのカップ戦だった。

▲優勝カップをチームメイトと撮影。それにしてもやけにイケメンなスペイン人
「自分はフォワードなんです。ってバルデスに言ったら驚いてた。でもそのままセンターバックで使われたけどね」
「自分のプレイはどうか。直接英語で聞いてみたら、グッドだと。
ここでやっていきたいって言ったら、(卒業する)3月まで待たないといけないんだろう? とバルデス。
ビザが取れるまで3ヶ月。来年の1月には来れる! と勢いよくスペイン語で言ったら。待ってるって」
本当かよ。でもまあスペイン人のニュアンスはわからないから、そういう挨拶かもしれないし、そのまま真に受けるわけにもいかないよなあ。などと話している俺たち夫婦。
ただなんとなくスペインでの居場所ができたようなので一安心する。

▲バルデスの監督っぷりを伝えるスペインの報道。右下に蓮が写り込んでいる(笑)
ほどなく蓮が帰国。ちょっとたくましくなってきた。
朝と夜プロテインをガブガブ飲み、米を1食3合食べるようになった。5合炊き炊飯器がすぐ空っぽになる。
体重が足りないという自覚を強くもったようだ。
駒込高校サッカー部での動きも劇的に変わったそうで、「蓮はスペインに行って人が変わったようだ。これは高校選手権は相当いいところまで行けるんじゃないか」
周りの期待が膨れ上がってると嫁。

さて、父もひと仕事しないといけない。日本のエージェントとの交渉である。
1、エージェントフィーの話
お金の話はちゃんとしておかないとね。(プロになると契約してお金をもらうという話なのだが、まだアマチュアなのでこちらがお金を払って生活とサッカーの面倒を見てもらっている)
年間契約なのか半年なのか。更新の形はどうなっているのか。
2、ポジションの話
フォワードかトップ下の選手なのに、バックスで使われていたのはなぜか?
これからもバックスで使われるのか。
そもそもモラタラスは契約をしたいと言ってきているのか?
3、語学学校の話
学校が1日一コマ(1時間)は少ない。と本人が言っている。
もっとコマ数を増やせないか。
4、宣伝広告の話
本人のSNSの発信になんらかの制限はあるのか。
親(オレ)が息子のことについて文章やマンガを描くことはありなのか。
という問題を話し合うためで、タフな交渉になると考えていた。
ところがまったく予想外な展開が待っていた。

8月6日のフェイスブックにこんな書き込みをした。
ーー
今夜、息子がスペインに出発します。
つっても1ヶ月向こうに住みながら、入団試験をいくつか受けるというチャレンジで、どこか受け入れてくれるところがあるのか、ものになるのかならないのかわからないんだけれど、とりあえず行ってみて様子を見る。つうことです。(そういうエージェントの会社に申し込んでみた)
翻訳機も実戦で使えるか見たかったので持たせた。(注・取材で借りた翻訳マシン「ポケトーク」のこと)
いやー、俺も行きたいなースペイン。
ーーフェイスブックここまでーー

安くないお値段を支払って、向かったヨーロッパチャレンジ。
空港に降り立った瞬間に、いきなり見知らぬおっさんに「スペインはワイファイ通じないからこのシムを使いなよ。安くしておくから」と持っていた現金を全部吐き出してどうでもいいシムを買わされて、文無しになってしまったのも今ではいい思い出...、のわきゃないわ。
ボール蹴るのはうまいけど、中身は人生経験の少ない高校生。それが一人で飛行機乗って海を渡っただけで良しとすべきかもしれない(親視点)

どこに泊まって、どんなチームを見学に行って、どこでプレイを見せるのか。細かいことはエージェントが決めてくれる。という話になっていたが、時々来る連絡(高額なシムは一応使えてラインがつながっている)の情報はなんとも心もとない。
たくさんのプレイヤーがヨーロッパに行っている。
Jリーグでプレイしたプロから、大学生、高校生、中学生までたくさんのプレイヤーが海を渡る。
最初にエージェント会社に行った嫁と息子は、彼の体と経歴をみてこう言われたらしい
「君はディズニーランドを見て帰るんじゃないよね?」
ぶっちゃけ、海外にあこがれてちょっとプレイするなら、有名チームの見学のような練習に参加することはできる。
でもそれはディズニーランドに行くような話です。とエージェントは言う。
それは「ツアー」です。もちろん全力で私達はサポートしますが、本気でプレイヤーを目指すならイギリスやフランスはおすすめしません。
本気でプロを目指すなら、名前をあまり知られていないチームの下部で頑張る手がある。モンテネグロはUEFAチャンピオンズリーグに出るチャンスがある。日本人プレイヤーにとって狙い目はまずモンテネグロ。
スペインはプロからアマまで幅広くて、5部や6部のチームなら入ることもできる。そこから上がっていくこともできる。
ではまあ、とりあえずスペインのプロの下部チームの練習に参加させてもらう、という話になった。

着いた。エージェントはいない。シムは高かった。くらいの連絡しかこないまま数日が経った。
どんな部屋にいるのか、どこで何をしているのか。本人は滅多にラインもしないので情報がさっぱりない。
「1日3行でいいから日記を書いて送れ」と指令したら、戻ってきたのが
「監督がバルデス」だった。
バルデスって誰?
元スペイン代表のゴールキーパー。あのバルセロナのビクトール・バルデスがなんとこのチームの監督に就任したばかりだと言う。
というのはググって知った。
そしてそのバルデスが蓮を気にいって試合に使ってくれたことで、運命が変わったのだった。
【続く】
