漫画家が売れるということ

このブログで「売上げなんと500万円」とおさいふの中身を明らかにしているので、500万円という部分がツイートされ、一般的にも「今電子書籍で売れている漫画家」というポジションが浸透しつつあるようです。
そういう露出をすれば、ポジティブに「すげえ、そんなに電子書籍はもうかるのか」と意見だけでなく、ネガティブな「なんだ、あの程度の漫画家でそんなに儲かるのかよ。面白くねえのに」という意見も当然出てきます。そりゃもう覚悟して待ち構えてます。
でも全然少ないよ?
(さあネガティブな意見を言ってこい、とは言っておりませんw)
売れるとか儲かる、ということは、多くの人の心をざわめかせるものです。
圧倒的な実力がある人が売れるのはあきらめもつくが、それほどたいしたことがないやつが売れるのは許せない。と思うのが人であります。
今のところ暖かな目で見てもらえているのは、自分が若手ではないことも大きいと思う。
25歳くらいで電子書籍を自分で出して、ドカンと当たってうわあ300万500万だ。と日記で書いたら...。
ものすごく炎上するんじゃないですかね(笑)

もう50歳の漫画家なんだからかんべんしてやれ、というだけでなく、漫画家が売れる。ということはどのくらいのレベルか。という話もあります。
売れた売れたと言ってる「限界集落(ギリギリ)温泉1巻」は現在1万4千部。
Kindleで出した6冊全部まとめて3万3千部は、電子書籍では驚く数字ですが、紙の書籍ではなんということもなく、売れてる。というのも口はばったい数字です。

通常、紙のマンガの帯に1000という数字があったら、それは1000万部を指します。
1000万部ってどのくらいかと言いますと、1冊500円だとすると印税10%で5億円です。年末ジャンボかよ。
1巻だけで1000万部はさすがの「ONE PIECE」でも届いていないと思いますが(いや行ってるかな)、10巻、20巻、100巻。合わせて1000万部というのは特に珍しくありません。
1億部売ってる本もあります。
漫画が売れるというのは、そういう凄まじい売れ方をするんです。重ねたら月を何往復もしますね。火星に片道で届くかもしれない。NASAもビックリ。

同業者もそういうことをわかってますから、鈴木みそがちょっと売れたらしい。くらいではなんでもありません。電子で100万部売ったら驚いてあげる。みたいなもんでしょうか(笑)
Kindleがどんどん普及していって、今の10倍、100倍とハードが普及していくと、メジャーな作家が売れ始めます。今の(コミックビームやイッキやアフタヌーンの作家の人気が高い)ランキングとは明らかに変わるはず。
それが3年後なのか、半年後に来るのか、わからないですが、思ってるより速いんじゃないかと最近のKindleの勢いを見ていると思います。
その時に埋もれないように一定数の読者を掴んでおきたい。と思って活動中です。

「ネガティブな意見が出てきたら売れてきた証拠」という意見があります。
最初は小さなコミューンで盛り上がって、それがだんだん大きくなって浸透していって、みんなが知るようになる頃には、ネガティブな意見も増えていくと。
自分の名前のスレッドを2ちゃんねるで発見した漫画家は、そのことを身にしみてわかっているわけです(笑)
売れてないのにアンチの多い鈴木みそ、は「ネガティブな意見が増えたので売れてきた」のかどうかわからない作家ではありますが。

5万人の読者がいれば生活できる。というのは紙の単行本の時に言われたことですが、電子書籍ならその5分の1でいける。
その1万人をクリアできたことがとてもうれしいんですが、休まず新作を作って行かないといかんのですね。簡単には生活できませんので。
年々作業が辛くなるのに。うー。
60歳過ぎても週刊連載していたり、月産100ページ以上量産している漫画家って、どれだけすごいか。そういう人がゴロゴロいるのが漫画業界の凄まじいところですよ。

オレは南国でゴロゴロしていたいけどなあ。