2009年12月05日

こくぞうむし

田舎から荷物が送られてきた。
玄関先まで運んでもらって、さて、台所まで運ぼうと思うが、微動だにしない。
持ち上げようとしても、あがりようがない。無理をすれば、腰が悲鳴を上げる。
ああ、お米だ。ありがたいな。
でも、しばらくは釜を持って玄関まで米を取りに行く…というのはいかがなものか。
次回、コストコに行ったときには、毎回悩んでいたあの台車を買おうと決心する。

義母に電話した。
義姉は今、大病の病後だし、その夫の義兄も腰が悪い。
どうやってあの俵の米を運んだのかを聞いたら、
「なあにさあ、オレがかついだ」
と、義母。……嫁いで16年、私は一生この人に敵わないと思う。絶対に喧嘩は売るまいと思う。

米は、ちょうど熱湯消毒の後、紫外線消毒までしちゃった米びつに移せると気づいた。
ああ、グッドタイミング。
まさしく米を食い尽くす直前に送ってくるなんて、母の勘は鋭いのである。
って、なんでそんな丁寧なことをしたかというと、「こくぞうむし」がみっちり、繁殖中だったからである。

お出かけの日には、カレーを作っていく。
その日、新たに五合の米を研ごうとしたところ、袋入りの新米がちょうどなくなって、あと一合ほど足りなかった。カレーとくれば、五合なければうちの欠食児童たちは納得しないだろう。ああそういえば、桐の米びつに入れっぱなしにしてしまっていた古米(といったって、年内の)がそれこそ一食二食分、あった気がするな。と、開けて見て、この茶色い点点は何!と、背筋が。

お出かけの時間は迫っていたけれど、このまま蠢く(←うごめく、って、すげぇ漢字)米びつを放置してお出かけしても、私の頭の中に湧いた虫が蠢着続けて、きっとちっとも楽しくないだろう。
ごめん!さの字(仮名)、そして、いの字(仮名)!ノーメイクで飛んでいくから、私が遅刻する間、東方神起話で盛り上がっていて欲しい。ああ、ありがとう、ユチョンとジュンス。こんなときに、助かるわ。
遅刻しても虫干し!と覚悟を決めたら、まずはネットで調査する。
画像が出ませんように、大写しの画像が出ませんように、特に白い幼虫系の画像が出ませんように、と祈りながら震えながら、サイトを複数あたる。
私は虫が最もキライなのだ。
若い頃には、白い幼虫が湧いた瞬間に、きゃーっっっっと三メートルほど飛び上がり、ごめんなさいごめんなさいと泣きながら米びつごと捨てた罰当たりな過去がある。
けれど、母が送ってくれる米を、「ただ怖いから」と捨てるわけにはいかない。
幸いにも、蠢いていたのは白い幼虫たちではなく、蚤に触覚がついたようなヤツだった。大量だと気味が悪いけど、まだマシだ。ええーっと、偉そうなコトいっても、白い幼虫たちの逆襲だったら、ごめんなさいだったかもしれない。
いろいろなサイトには、「食っても害がない」とさえ書いてある。
よし。戦う。勝てる勝負は絶対に戦うのが、私のポリシーだ。
虫干しして、退治して、死骸はきれいに洗い流して、万一混じっても毒ではない。そもそもチクロを食っていた私たち世代に怖いものなどあるものかとは思うが、毎晩の酷使で弱りきった肝臓は、そろそろ大事にしないとね。それで害をちゃんと調べているところが大人である。

そんなわけで、紙を広げて米を日光にあて、米びつは熱湯で消毒して……という次第。
男には、外に七人の敵がいるというが、主婦にも、いろんな敵がいるもんだ。
いろんな敵をやっつけて、私は大きくなっていく。
ただ、おかげでお米をよーく研ぐもので、古米なのに白くてビカビカ、うまかったりする。
食も進んで、そういう意味でも、一回り大きな人間になりそうで……怖い。

2009年12月05日 23:39