2007年02月12日

千里を走る

虎刈りの話ではなく。
小僧のうわさが先行しているのは知っていたが、ああこういう目で見られるんだなあと思う。
駅前でちょっとしたお祭りがあったので、子どもたちと一緒に出かけていった。
久しぶりに会うP子の幼稚園時代のママ友や、偶然会った習い事で一緒だった人。なつかしいねえの挨拶のあと、おずおずと聞かれるのよ。
「福助君は大丈夫なの?」
「小学校、普通にいけるんでしょう?」
うん、大丈夫よ。とにかく彼を見てやってよ、普通に、普通だから。
私の場合はそこから息子自慢が始まるのでまあいいようなものの、笑いで切り返すのが大好物の私ですらこの手の好奇の目があんまり次々繰り出されるとボディブローのようにへこむことがある。
当然、性格的にカミングアウトできないタイプの人がいるのもわかる。
ぶっちゃけ、説明、めんどくさいんだよね。障害児のいる暮らしにはもれなく説明の義務がついてくるとなると割としんどいかも。
息子が特別製だということを常に意識して暮らしているわけではないからさ。
これ読んで。って、パンフレットでも持ち歩くか。そういうパンフ、作ろうか。
福助の華麗なるシュート集! ……違うか。親ばか炸裂しすぎか。
私は、遠巻きにして「変わった部分」をちらちら探されたり、あるいは腫れ物に触るみたいになってるよりはズバリ聞くわよなタイプの人のほうがずっとずっと付き合いやすいし気楽なんだが、同時に、この先もずっと「診断名」が付きまとい、大勢の人から大丈夫か大丈夫か聞かれるのは、正直、厄介だなあとも思う。
大丈夫か聞いてそれを寿いでくれる人が大半なのでこの地域にはできた人が多いというか、私の人徳かなとホクホクしたりもするんだが、中には福助が普通学級で迷惑をかけないかどうか無意識で探ってる失礼な人もいるんだよね。
なんで知ってるの?という人にまで同情の目を向けられたりして、噂は千里をかけるのだなあと思う。噂を鵜呑みにして話しかけてこない悪意の人は潜在的にどれぐらいいるんだろうかなんて想像すると、怖くなる。
いやもう、そういうのには慣れたし、むしろ世界中の人に向けて「自閉症って天才の別名ですよ、ぜーんぜん怖くないし、嘆く必要なんかないですよー」と、こうやって言い続けたいわけだから、説明を求められれば、それはね、喜んで引き受ける。
こういう不便もあっての障害だ。
たとえば、告知で絶望の淵に立つのは無知と偏見のなせる業よ。ああなーんだ、ちょっと困ったり面白かったりする、そんな種類の子だったのねぇ。それじゃそこに焦点合わせて、育てていきましょ。ぐらいに思えたら、親も子どもも楽になる。親が隠したり、否定したり、苦悩したりする必要も、そんなにない。いやまあ、普通じゃないんだからショックはあるけどさ、特別ってことは、マジ、悪いばっかりじゃないんだからさ。
多少、不便はあるけど、別に不幸じゃないもん。不幸になってるなら、それは子どものせいじゃなく、自分のせいなのよ。福助のおかげで、家族や仲間には、笑い合う回数が飛躍的に増えている。
福助自身に、または病気に、悪意なく興味を持ってもらえたら、それはありがたいことだ。
福助に触れてくれた人は、偏見が少なくなる。
病気の特徴を大変だという人もいれば、うらやましいといってくれた人もいる。
もう一度自省することで、個性豊かな自身と病気の関係を考えてくれる人もいる。
どんな子どもだって自分の子は特別だといった人もいて、私は私だけが大変なんだと考えなくなった。
見えなかったことが見えてくる。支えているつもりで、支えられていく。そんなことまで立ち話では言及できないけれど、私は福助に興味をもち、関わってくれるすべての人に感謝したいと思う。
そこから、もうちょっとだけ深く知ってくれたら。
少しばかり普通と違う、特別製の子どももいるけど、そもそも、みんな違うんだし。違うことが普通。どこにケアしたらいいのか、説明なくても大丈夫。という世の中になってくれると、いいんだけどな。
そんな日が来ることを祈りつつ、私はとにかく説明し続けようと思うよ。

「ねえ、小学生よりサッカーのうまい幼稚園児がいるって別の幼稚園で評判になってるって知ってる? それ福助よ、同じクラスよ、本当にうまいのよって自慢しちゃったわよ」
と、以前、幼稚園のママ友に言われたことがある。
同じことだ。福助は噂になって、囁かれる運命にあるのかもしれない。
でも、いい噂というのは、悪い噂より足が遅く、声が小さいみたいだ。そんなこと、誰からも聞かれなかったんだ、お祭り会場では。まあ、自慢全開になってもいけないので、こんな程度でちょうどいいのかも。

2007年02月12日 16:09
コメント

このブログを拝読させていただくのは実は2年ぶりぐらいです。免停の頃に数度メールなどさせて頂いた者です。
職場が変わってったりで、日中パソコンをいじれなくなり遠のいてました。すみません。ちょっと間が空くと追いつくのに大変で、ついつい、偶々友人に引きずり込まれたミクシーで発見して、久しぶりに拝見させて頂いております。

うちに長男もちょっとその気があり、明日は我が身かなとか、思いながら読ませていただいております。

一ファンとして、コメントがまったく付いていない事が信じられず、ついこんなだらだらと書いてしまいました。御免なさい。

Posted by: 河本 基 : 2007年02月13日 15:55

いけません。勢いで本名で投稿してしまった。
しかも誤字だらけ、すみません。

Posted by: ひかえ芽に春 : 2007年02月13日 16:05

福助くんももうすぐまた新しいステップへ進むのですね。うちの坊主も明日町立幼稚園の面接です。すでに加配は決定なのですが、育児サークルでは何人かにカミングアウトしてはいたものの、いつの間にか自閉症だということがまんべんなく知れ渡っているみたいです。
ゆうこさんのように感謝できるか・・・。今のわたしにはちょっと無理かな。卑屈になることが多いです。情けない・・。
息子が周りの人たちに愛されるように育つといいなと思いますが、母親次第かもしれないですね。ゆうこさん目指してがんばります。

Posted by: めぐみん : 2007年02月14日 15:21

河本様 本名でのコメント、ありがとうございます。にこにこ。
ちょっとその気、いいですね。天才ですね。くじけたりもするけど、基本笑っていきていられたら、それでいいと思うんですよ〜。

めぐみん
がんばれ。
卑屈になります、私も。割としょっちゅう、卑屈になります。で、体ちぢこまったら、あとで伸びをすればいいんですよん。
悪いうわさを喜んでささやきあう人は、不幸だからだと思います。そんな不幸なやつらに負けちゃいかんと思います。がんばろう。共に!

Posted by: ゆう子 : 2007年02月16日 20:08
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