仕事でお尻に火がついている相方、まともにご飯を食べる時間もとれない。
地下室にこもって、日がな一日、トンカラリとはたを織り、もとい、カリカリコリコリ漫画を描いている。
大変な仕事である。身を削って、一心不乱で描いているのだ。
ずっと同じ姿勢で描き続けるので、あちこちが痛むだろう。仮眠のベッドで腰を痛めたともいっていた、まったく締め切りは健康に悪い。
台所で水仕事をしていたら、相方の呼ぶ声がする。
「ゆう子、ゆう子ぉ」
どうしたのだ。とうとういかれて、どこか動かなくなったか。
地下室と台所をつなぐ秘密の扉,どこから見ても地価収納庫のふたにしか見えないフタ部分が、相方の私を呼ぶ声とともにがちゃがちゃと開く。
「ゆう子、俺さ、わかっちゃった」
ユーレカは、囚人のようだった相方を、こんなにもニコニコさせるのね。よかったね、よかったけどさ、じゃあいったい何がわかったの、またどこぞの筋肉の動かし方でも? もうやせマッチョ自慢ならいらないよ、私も豊満攻めするよ、とか思いつつ顔を上げると、
「見てみて〜」
と、思わせぶりに背中を向けている。そして、やおら、
絶句。
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
一瞬の間があって、叫ぶ、私。泣く、私。何で何で、涙が出るの?
そこには帽子をかぶってめがねをかけて微笑む、ノン様がいた。
ノノノ、ノン様。私のノン様が。ノン様が。私のいとしのノン様は、ポカスカジャンのリーダーで、ごく最近、ブログも開設し、ロックバンド「EDN」〔読み・アイドントノーズ〕で初ライブも大成功させた、素敵な素敵な……
ああ、ショック。いくら目が悪いとはいえ、一瞬うはあノン様っと思った自分が許せない。つか、混乱していて何がショックなのかわからないまま、うわあうわあと叫びながら泣く。
何がショックなの?>私。
ヨン様ファンだとして、冬ソナカツラを被ってマフラーをミニョンシ巻した本物の彼氏がそこに雪だるまを抱えて立っていたら……と考えてほしい。
それがまた、ちょっと似ていたりしたら、どうしますか。貴女!
何度でもいう、私にとってヨン様はぺでも、ノン様はノン様だ。唯一無二の、ノン様〔特大ハート〕だったのだ。世の中そうそう、〔様〕な人はいないが、数少ない、そんな〔様〕なのだ、ノン様は。
ショックだ……そのうえ、どうもフリーズしたらしく、どんなに考えても何がショックなのかわからないのだ……。未だ、なんかものすごーくショックなんだけど。
でも、これだけは言える。
仕事というものを、もっときちんと考えなきゃダメだよ、お父さん。
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