「すいか」
と書かれた大きなダンボールを五箱、べりべりっとガムテープをはがすと、そこには魅惑の漫画がぎっしり詰まっていた。
相方の本である。もう10年以上も手にとっていなかったものだから、
「そのまま古本屋さんにひきとってもらってもいいぜ」
と豪語していたのに、見れば単行本化されずに終わった連載の掲載誌や、やんちゃ時代の写真などもあって、とうてい捨てられないお宝なのよ。
本に溺れつつ、空いたダンボールに不要本を詰めはじめたら、今度は
「ああ、その先生の作品は捨てちゃダメ。こらこら、この先生に関しては専用棚を作って」
と、やはり思い入れの強い漫画は手放せないようで。
「あー思い切ってこれは処分」
と指示された全巻も、私自身未読の面白そうなものだったりすると、とうてい捨てられなくなる。
小さな地下書庫はすでにぎっしり本が詰まっていて、床にも本があふれてまったく使えないので、ここは思い切って、私の蔵書も処分することにした。
コンプリートで読んできた何人もの作家さんを卒業する儀式ってとこね。
娘に読ませたい漫画と書籍はダンボール二箱分、娘の部屋に。
これは死ぬまでに読み返すことはないなというのを基準にして、意を決して、処分本をダンボールに詰めまくった。小学生時代の文芸書、中学時代はSFとミステリーの文庫、高校時代の戯曲集、修行時代に食事代と迷って買った古本屋の単行本、資料になりそうだと買っておいたものの資料として使うことはなかったムックや企画本、仕事でそろえた科学系の本、バブル時代に買いあさった小説と写真集と語学の教材、結婚してから急に増えた実用書。
自分の過ごしてきた長い歳月って、本に如実に現れている。
古本屋さんに引き取ってもらうこの箱は、そのまま私の構成要素だ。
相方と結婚したときに同じ本がたくさんかぶっていて、それだけで小さなダンボール三箱ぐらいを処分したのだったが、それ以外は基本的に本は捨てずに持ってきた。
本、大事だったんだなあ。そういえば、いつでも、どの部屋にも、読みかけの本が複数置いてある。
多分、一番長い時間を一緒に過ごしてきたのが、本だ。読み終わったら書庫のダンボールに放り投げて、ここ十年、ずっと書棚は未整理のままだったので、大きなことは言えないんだけどね。
「友よ!」
と大書された、大学を中退するときにお友達が寄せ書きしてくれた色紙まで出てくる。
言いたいことを言って、それがトラブルになって、やめた大学。なんだかちっとも成長していないんじゃないかと嫌になる。
ここのところ恥じ入る事がめっきり多い私だが、寄せ書きの言葉を読んで、いったいどんなでかい野心を吹聴したのかと顔から火が出た。
すみません、あのときの皆さん。私はひっそりと生きています。骨折ったり、反省したり、反省したり、反省しながら。
とりあえず、25年前より自分の大きさはわかっているつもりだけれども、いつか、もっと、ちゃんとした大人になりたいなあ。
で、捨てる捨てる、いっぱい捨てる。
それでも結局書棚はまるっきり足りないという事実に愕然として、今日の作業終了。
といって、本棚買ってどこに置くかといえばもうそんなスペースはなく、いっそ全部捨ててしまうかと思わないでもない、年の瀬。今から一冊ずつ読み始めたって、どうせ死ぬまでに全部読み返せない本の量って、どうなのよ。
何が必要で、何が不要なのか……。
今年の大掃除はいつになく大掛かりです。
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