サッカーは失敗が前提のスポーツ。
コーチングの本には再三、そう書いてある。指示をするな、選手に考えさせろ。
知っているはずなのに、小僧がまるで活躍しないと、それはそれでイライラしているサッカー教育ママな私がいた。
Jリーグ、U-6対象のイベントに行ってきた。
練習中、女の子のドリブルを簡単に奪って泣かれて、小僧、すっかりペースを崩す。
ランダムで別れたにわか仕立てのチームで練習試合も、どうも表情が浮かない。
始まって1分、強く蹴ったボールが今度は別の女の子の顔面を直撃し、彼女の故障退場で完全に意気消沈。なんとか持ち直すものの、意識は守備に。
今度は、中盤で果敢にあいてFWのボールをスライディングで止めた瞬間、ファウルをとられ、相手にフリーキックを与える。初めてのファウルに、小僧呆然。
ゴールめがけて走り込む相手チームのFWを、ゴールキーパーの位置に走り込んで止めようとすると、ヒザを別の子に蹴られてつぶされた上に、得点を許し、半べそに。
3試合あって、あとの二試合も似たような感じ、いいところなしだった。
終了後、有名選手と写真を撮ったり握手したりできるから、と促しても、見向きもせずに一人でゴールにボールを持って走り、怖い顔でシュート練習する福助。もちろん、イライラしていたサポーターの私も、きっとがっかりの怖い顔をしていたと思うんだけど。
「楽しかったよね?」
と、大人なので、帰りにきちんとそう、聞いてみた。若干、つくり笑顔の私に反して、
「うん、楽しかったよ。サッカーができたからね」
と、サッパリした福助スマイル。完全に気持ちが切り替わっている表情だ。
運動量は抱負だった。得点こそなかったけれど、打撲も含めて、いい経験だ。泣くほどくやしい、そんな負けたときにこそ、学ぶものがある。かあちゃん、途中フキゲンで悪かったね。サッカーしている君が楽しいことが一番なのにさ。
その一点のために、福助は自陣からゴール前に走り込んでこぼれ球を狙い、展開が変われば一気に自陣に全力疾走していた。
その一点のために、夢中になって、私には到底できないことをピッチでやっている小僧。結果でなく、その姿が尊いのではなかったか。
何より、負けて悔しいことも、今ひとついいところを見せられなかったことも、つまりは栄光も屈辱も、すべて私ではなく福助のものなのに、私が何、悲痛な顔してたんだ!!
サッカーはついうっかり、選手とサポーターが一体化してしまうから怖い。
「今日はよかったなあ。本当に、サッカーは楽しいんだぁ!!」
帰ったら一緒にワールドカップを見よう。
心の底から、楽しいと思えるスポーツに出会えて、本当によかったよね。
明日は、ドイツワールドカップ、日本vsクロアチア戦。
ピッチに立つ選手は誰もが、全日本の代表として自分に恥じない、素晴らしいプレイができるように祈りたい。きっと私は彼らの一挙手一投足に小僧を重ねて、一瞬たりとも見逃さないように、みつめるんだ。どんな結果であれ、こんなにドキドキさせてくれることに感謝するんだ。
だって、きっと23人のサムライたちは、「サッカーが大好きで、サッカーが楽しくて」仕方がない、泣いて笑ってケガばっかりしている、小僧みたいな子どもだったんだろうから。
なんというか……母の視線ですね。
頑張れ、ニッポン!!
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