ラジオでドキマギ

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IMG_0562.jpgラジオ収録してきましたよ。
1時にTBS(ちょっと遅刻しましたが)のスタジオに入って、録音。
音楽を1曲いれた7分の番組。話す部分は正味5分の話を10本撮りですよ。
2時間もあれば終わるのかなと思っていたのが大間違い。
素人がいきなりマイクの前に立って、スラスラと話できるはずもないので、どんな話をするか。という打合せでみっちり2時間。
この段階ですでに今日予定していたエネルギーを全部使い果たしました。
でも、ここからが本番です。

「では、録音始めますか。
『ちゃらーん』と音楽が鳴ったら話し始めてください。目の前にいる放送作家は、いるけどいない人ですから、話しかけないで、ずっと一人で話してくださいね。後から編集しますから自由に話してください。では行きます。」
「ちゃらーん」

「漫画家鈴木みしょのおおくりする...」


「はい。やりなおしましょう」
「そんなに慌てて話さなくてもいいですから」

すいません。鈴木みそって言いにくいんですね。始めて知りました。鈴木みそ鈴木みそ鈴木みそ鈴木みそのおおくりする...。おっけです。頑張ります」

生放送じゃないですから大丈夫です。では行きましょう。ちゃらーん」

鈴木みしょのお送りする、マイ...あ、ごめんなさい」


大丈夫ですよ。落ちついて。ゆっくり話すといいですから。あと声がちょっとこもるので、上を見て話すようにしてくださいね」
「ちゃらーん」

「漫画家、鈴木みそのおおくりするマイ...
あれ? なんでしたっけ。あ、(目の前の放送作家の出すカンペを見て)マイ・フェイバリット」

「やり直しましょう」

万事こういう感じ。
緊張はあまりしてなかったんですが、下にカンペがあって、話すべき内容があって、時計がコツコツと動いている。
うおお。これは新しいプレッシャーですよ。
漫画家の世界を話すときに、この先生はこんなエピソードが。と頭に浮かぶのに、先生の名前が出てこない。一瞬詰まってしまうとリズムが崩れてしまう。別の話につなぐために「えーと」という言葉をたくさん挟んでしまう。ああ、もっと自分の頭が切れればいいのに、このぼんやりした脳みそは何だくっそー。と10秒毎に頭の中の小人が叫びます。
「大丈夫。編集で取りますから」

ネタは面白いと思うんだけど、それを話すオレがバタバタして面白さを伝えきれない。
「うん。じゃあもう一回撮り直しましょう。頭からいきます」

申し訳なくなる午後4時。まだ一本も撮れてない。これ今日中に終わるんだろうか。スタジオは何時まで押さえているのか。
漫画家はおとなしく絵を書いていればよかったんじゃないか。ラジオで話すなんて10年早かったんじゃないか。という反省が頭を駆け巡る。こだまでしょうか。
でもここまできたらやらねばならない。

「漫画家、鈴木みそのお送りする、マイ・フェイバリット。今日から2週間にわたって、漫画界のディープな話やIT関係、ゲーム業界の話をしていこうと思います」

「はいオッケーです」ではそのまま1本目行きます。目の前のライトがついたら話してください」

頭の10秒を撮るだけで400メートル走を4,5本やった感じ。どういうエネルギーの消費だ。
話し始めると、5分なんてあっと言う前で、これから本題に入ろうかというところで時間ですよ。うお、次はもっと情報をみっちり入れて。
とか思うと、口調がドンドン早口になって滑舌が悪くなってかみかみ。
えーとどこからやり直しますか。
「じゃ、頭からもう一回撮り直しましょう」

背中に汗がたらーっと流れました。これは終わらないかもしれない。
本来はこんなところにいてはいけない人間が、自分の名前すら、かまないで言えないおっさんが、なんでラジオのパーソナリティなんてやっているのか。
声のテンションも下がってきている。
テレビ番組に普通に出てる漫画家ってすげえな。
ラジオ番組をレギュラーで持ってる和田ラヂヲさんやオールナイトニッポンの久保ミツロウさんはすげえわ。
テレビで普通に話してるヤマザキマリさんやひうらさとるさんはどんな心臓だ!
ええい!
腹を据えた。
今更逃げることはできない。
突然天才的にうまくいくことなんてない。オレはオレの能力以上はできない。
ダメならダメでしょうがねえ。と開き直るしかねえわ。

「はい。鈴木みそです。漫画家やってますが、ぼちぼちというところです。漫画家って商売はピンからキリまでありまして、ピンってのは凄いです。2009年に本を出した漫画家は5300人いるそうですが、その売れているTop100人の平均年収は7000万円なんだそうです。
ところが、残りの5200人の平均は290万円。
同じ漫画家と言っても全然違うわけですが、自分はどのへんにいるのかなー(笑)と考えますと、1000人くらいまでには入ってるかなーという微妙なポジションですね」

「吉祥寺には漫画家がたくさん住んでいるんですが、いしかわじゅん先生は仲良くさせてもらってます。
前にいしかわさんが街でオレをみかけて声をかけたんだそうですよ。遠くにいたんで大声で「みそーーー!」
でもオレは気が付かなかったんですね。
いいオヤジがいきなり町中で「みそー!」と叫んだらみんな振り向きますよ。
みそを買い忘れたのを思い出したのか。
「みそが返事しないから恥をかいたじゃないか」と後で怒られましたけど。
そういう珍しい名前です」

いったんリズムにのったらするすると収録は進み、7時過ぎには終わりました。
プロデューサーは10時は回ると覚悟していたそうですが、案外早かったね。と焼き肉しゃぶしゃぶを食べつつ言われました。
「みそさん上手になるの早いですよ! ドンドンうまくなった」

ありがとうございます。やっぱり最初はひどかったですか(笑)
自分でも途中から話すのがだんだん面白くなりました。
やり直しは最初の3本までで、その後は一発オッケー。
脳みそからなんか汁が出て興奮が続いた状態でした。
ラジオ番組を持つ。というのはとても魅力的な提案でしたが、そう簡単なことじゃねえですわ。そりゃそうだよなあ。

あ、この話マンガに描こうと思ってたのに、さわりだけブログに書こうと思ってたら、大体書いちゃったよ。
放送は10月末と11月の頭の2週間、TBS系列の地方局ラジオで放送されるそうです。何人聞いてくれるのかなー。
録音をネットで流せないかと聞いたら怒られました(笑)
地方のファンはTBSを流し続けてくださいね。7分だけ教祖が登場する、かもしれないので。
聞いてる方が緊張するラジオ「マイ・フェイバリット」漫画家鈴木みしょがお送りしました。

またかんだわ。